偽り少女 | ナノ
少女は偽る
薄暗い洞窟を歩く。

少し肌寒い。

足音がやけに響く。

そして辿り着いて目にした光景は、湖の近くで戦う男性二人。

一人は少し見覚えがある気がする。

もう一人は、見たことが無い。

そしてさらに、そこから少し離れたところで、もう一人佇んでいた。

「それ、しってるしってる!! ペタ!!!」

情けない声が耳に入る。

「ありがとうな。エレクトリック・アイ!!!」

電流が走り、大柄の男は倒れた。

余裕そうに帰ってくる、長髪の男。

「あら?」

佇んでいた人間が、もう一人の人間に気付く。

「アオイじゃない!」

「ドロシー…」

灰色の髪、紫の目をしたアオイはここにドロシーがいることに内心驚く。

「(しまった…まさかドロシーがいるなんて…予想外だった)」

「なになに? ドロシーちゃんの友達? 自分、ナナシ言います!」

「どうも…」

先程の、大柄の男とのやり取りから、アオイはこのナナシと言う男がペタに恨みを持つ者だと推測する。

「なんでこんなところにいるのよ」

「たまたまここに来たらね、ARM使いの人達がチェスの兵隊を倒しに行ったって聞いたから来てみたの」

「へぇ」

「ねぇ、ドロシー。バッボとか言うARMを連れた少年知らない?」

「ギンタンのこと?」

「(知り合いかよ)」

ことごとく予想外なことになるアオイ。

「ほな、一緒に戻ったらええんちゃう? ギンタにも会えるしな」

「それがいいわ」


そんなこんなで、分かれ道の所を自分たちが行った別の方向に進んだ。

そこには一人の少年が倒れていて、傍には生きてるARM、バッボがいた。

「(この気配…)」


「あ、起きた!!」

「どうやら君もチェス一人倒したみたいやの、ギンタ!」

「実はギンタンに会わせたい人が…ってあれ? アオイは?」

「そういやぁ、ギンタ見つけた頃から見てないな」

「???」

「どこ行ったのかしら…」


◆◇◆◇◆◇◆


「勝手についてきたのかい?」

「たまたまよ。まさかファントムがいるなんて思わなかった」

「ギンタ…面白いよ」

「私別の方行っちゃったから…。会ってみたかったな、ギンタに」

少女の姿は黒い髪に深い青色の目。

「姿変えてる時も可愛いのに」

「冗談言わないでよ。さっさと帰らないとペタに怒られるよ」

アオイのその言葉に、ファントムは微笑を浮かべた。

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