そして少女は生を受けた
むかし、むかし。
今から数十年前の話。
本人も曖昧だと言っていた。
そんな話。
地球と言う、東京に生まれたとある女は、ある日突然異世界にやってきた。
異世界は、自分のいた世界とは全く別物の風景。
そして女はとある町で男と出会う。
男は別の世界から来たと言った女の言葉を信じ、女にこの世界を教えた。
やがて女はその男に魅かれていき、男もまた女に魅かれていった。
しかし男は、裕福な家庭に育った人間。
二人の関係を許すはずも無く、男の両親は二人を引き離そうとした。
異世界の人間などいるはずが無い、と。
この女は家の財産欲しさにお前を騙しているのだ、と。
誰もがそう思った。
誰もが男にそう言った。
でも男は両親の言葉を聞かずに、女と町を去った。
それ程に女を愛してしまっていたから。
女は何度も謝り、何度も男を止めたが、彼女もまた、男を愛してしまっていた。
それから数年後、二人の間に一人の娘が生まれ、幸せな家庭を築いていったのでした。
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