特等席 | ナノ
こんにちは、初めまして

今日は日曜日。

晴天の中、日差しを避ける為に帽子を被り、日陰でもうすぐ来るであろう人物を待っている。

家が近いと言っても場所が分からない私の為にわざわざ迎えに来てくれる。

今日は待ちに待った、レッドくんの家に遊びに行く日なのです。

心臓がドキドキしてうるさい。

ちょっとしか歩いてないのに、顔が熱くなってくる。

「リコリスー」

聞き慣れた声が私の名前を呼んだ。

「グリーンくん。こんにちは」

「おう」

自転車に乗った私服姿のグリーンくんはどこか勉強会以来で、未だ違和感を感じてしまう。

「わざわざ迎えに来てくれてありがとう」

「いいよ。俺もレッドん家行くんだしな」

グリーンくんはわざわざ自転車から降りて、一緒に歩き始めた。

強い日差しが私とグリーンくんに降り注ぐ。

「リコリス、何かお嬢様っぽいな」

「そうかな? 涼しい格好にしたんだけど」

日差し除けの帽子にワンピースと低めのヒールがついたサンダル。

日焼け防止にアームカバーをつけている。

「一瞬長袖に見えた」

「室内に入ったら取るよ?」

「そりゃそうだろ」


待ち合わせ場所からレッドくんの家は近くて、思ったよりも早く着いた。

それを考えると、確かに私の家からレッドくんの家は近いのかもしれない。

「いつもはこっからレッドの部屋に向かって声かけるんだけど今日はインターホン鳴らすな」

ピンポーン、と軽快な音が鳴ると少ししてガチャ、とドアが開いた。

笑みを浮かべた女性が出迎えてくれる。

「グリーンくんいらっしゃい。それと、リコリスちゃんも」

「お邪魔しまーす」

「お、お邪魔しますっ」

普段通りのグリーンくん。

私は自分の名前が呼ばれたのに吃驚して声が裏返った。

レッドくんのお母さんと思われる女性はふふ、と笑うと私たちを中に入れてくれた。

「リコリス、イーブイ、いらっしゃい」

「俺は!?」

「お邪魔します、レッドくん。あ、これ母から」

「まぁ! わざわざありがとう! ゆっくりしていってね」

レッドくんのお母さんは私から袋を受け取ると奥へと行ってしまった。


レッドくんに案内されて部屋に着くと、そこにはピカチュウが一匹いた。

「この子があのピカチュウ!」

可愛らしいピカチュウはこれまた可愛らしい鳴き声をあげた。

「可愛い!!」

思わず触ろうとしたけれど、ピタッと手を止めた。

「………」

実はピカチュウに触るのは初めてだったりする。

いきなり触ったら驚いて電気を放ったりしないだろうか。

「大丈夫。優しく触ってやれば電気は放たないよ」

「ほんとう…?」

コク、と頷くレッドくんを信じて、優しくピカチュウの頭を撫でた。

嬉しそうに目を細めるピカチュウが可愛くて、心の中で安堵する。

「ピカチュウ、よろしくね」


こんにちは、めまして

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