特等席 | ナノ
予想してなかった関係

「お友達にもなってない状態でこんなこと言ってごめんね…?」

「……は?」

「……え?」

「………へ?」

私の言葉にグリーンくんとレッドくんはほぼ同時に声をあげる。

そしてその声に私もまた声をあげた。

「友達じゃないって…どういうことだよ?」

「え…だって友達になってって私まだ言ってないし、言われてないし」

「友達ってなってくれって言ってからじゃないと友達じゃねえの?」

「違うの?」

コテン、と首を傾げる。

「だって、恋人だって好きです、付き合ってくださいって言ってからなるものでしょう?」

「………」

呆然とするグリーンくん。

唖然とするレッドくん。

私何か、間違ったことを言ったのだろうか。

「友達ってのはな、別になってくれって言わなくても友達なんだぜ」

「…そうなの? 知らなかった」

「あと言うと、俺とレッドとリコリスは友達だ。とっくにな」

「………」

そうだったの?

知らなかった。

もうとっくに、友達だったなんて。

友達なんて、いたことなかったから、分からなかった。

だから私、レッドくんが好きだってことにも気づかなかったのかな。

「あと、告白するならちゃんとしろよ。あやふやでわけ分かんなくなってんぞ」

「す、好きです?」

「疑問形!? あと俺にじゃないだろ!」

ったく、世話が焼けるぜ。

なんてグリーンくんがブツブツと言い出した。

「私、レッドくんが好きです。お友達としてじゃなく、その、恋愛感情で」

バカな頭で精一杯選んだ言葉。

「…うん。僕も好きだよ」

幸せな気持ちになった。

好きって言うのも、言われるのも、心が温かくなった。

「嬉しくて、泣きそう…」

嬉しくて泣きそうで、でも顔は笑みを浮かべていた。

「僕、ずっと好きって態度に出してたんだけど…」

「いやレッド、お前態度に出してたって分からねえよ」

「ごめんね…全然気付かなくて…」

二人の言葉にレッドは思わず黙り込む。

「いつから?」

少なくとも、私よりも後だと思うの。

飼育委員で一緒だったって言っても殆ど関わり無かったし。

私は自覚したのは今日だけど、多分レッドくんを見る日々が始まった時から好きだったんだと思う。

グリーンくんと何話してたか知らないけど、時々ふと優しい顔になるのにドキッとした覚えがある。

「去年…」

「…去年?」

「去年!?」

「飼育委員で一緒だった時、ポケモン達の餌当番の時は必ず早く来てあげてたし、そうじゃない時も様子見に来てた」

「うん」

「ポケモンを見てる時のリコリス、いつも笑ってたから」

また、笑ってる顔見れて良かった。

そう言うレッドくんも微笑んでいた。

「え、なに。お前ら付き合うの?」

「グリーン、KY」

「うっせー」


予想してなかった


でしゃばるグリーンとかちょっとKYなグリーンとか好きってサラッと言っちゃうレッドさんとか好きです。私が。

2011.09.08

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