僕らのご主人様 | ナノ

「今日はカップ麺じゃなくて自分で作るって言ってたくせに、何で空のカップ麺の容器があるの!」

「面倒だった」

「面倒でも作るって言ってたじゃないの」

「ナマエがいないから」

「私がいないから自分で作るって言ってたんでしょう」

どうして毎日のように喧嘩できるんだろう? くっつくようになるまでは乙女みたいだったのに。ポケモンセンターに帰ったら落ち込むのに。

「俺の飯係はナマエだろ?」

「飯炊き女みたいに言わないで! 私はデンジの召使いじゃないのよ!」

「じゃあナマエ自身はどう思ってんの?」

「そ、それは……」

あ、顔が真っ赤だ。ナマエちゃんかわいいなあ。

ポケモンセンターで、わたし達に言ってるみたいに言えばいいのに。そしたらきっともっと仲良くなれるのに。

「ニヤニヤしないでよ! ばかっ」

「いやー、俺の彼女は可愛いなーって思って」

「か、可愛くなんて……」

ナマエちゃんはポケモンが大好きで、バトルと旅も大好きな可愛い女の子。わたしのトレーナーで、わたし達をとても大事にしてくれている。

そんなナマエちゃんが好きになった人は、多分イケメンとか言われてる人だと思うんだけど、少しだらしない。初めて見た時はバトルの最中だったからか、少しかっこよく見えたんだけど、ナマエちゃんが仲良くなってからはこんな感じ。

この人のポケモン達はとってもいいポケモンばかりで、ナマエちゃんもよくブラッシングしている。時々わたしより先にブラッシングするからちょっとさみしい。あ、お腹すいたなあ。

「それで、今日の夕飯なに?」

「私さっき飯炊き女じゃないって言ったばかりなんだけど」

ねえナマエちゃん、お腹すいた。おやつの時間! ポフィンたべたい!

「えっ、リーフィア?」

おやつ!

「ああ、ポフィンか。一日一個だからね」

わーい! おやつだー!

ナマエちゃんはお料理が上手で、いつも出してくれるご飯もポフィンもおいしい。

「ナマエのリーフィアって食いしん坊だよな」

「うちの子の特性はくいしんぼうじゃないけど?」

「そっちじゃねえよ」

はあ、おいしかった。

「私の手持ちの中じゃ、一番最後にゲットしたから末っ子気質なんだと思う。甘え上手だし」

え? なになに? 撫でてくれるの? やったあ! ナマエちゃんに撫でられると気持ちいいの!

「ナマエは甘え下手だもんな」

「それとこれは関係ないと思うんだけど」

「いつも一人で抱え込みすぎなんだよ。たまには頼れよ」

「ちょっと……髪の毛ぐちゃぐちゃになる……」

「嬉しいくせに」

あれ? 仲良しになったのかな? ナマエちゃんが嬉しそうだ。

「でも、それなら自分で食生活も何とかしてよ」

「面倒」

「デンジの部屋のゴミを捨てる時にカップ麺の容器だらけでショックなのよ! 少しは自炊してよ!」

「もうナマエがいるんだからいいだろ。早く親に同棲したいって言えよ」

「デンジなんかじゃ許してくれない!」

「なんかって何だよ」

「こんなだらしないやつ……」

「泣くほど悲しいのか」

「ううん……もっとしっかりした人を好きにならなかった自分が悔しい」

ハッ、ナマエちゃんが泣いてる! どうしよ!? 泣かないで! 泣かないで!!

「俺の扱い酷くないか?」

「デンジが悪い」

また喧嘩なの? デンジさんが悪いの?

「分かったよ。次から自炊するようにするから」

「自分でご飯、炊ける?」

「ご飯くらいは炊ける」

「お米とぐ時は洗剤使わないからね?」

「お前は俺を何だと思ってるんだよ」

「私の彼氏」

ナマエちゃん泣かないでー!!

「お前……そこでそれは狡いだろ……」

あれー? 仲良くなってる?

ナマエちゃんが嬉しそうだからどっちでもいっか。



『泣かないで、わたしの大切な人』


バトル時以外はただのアホの子。
2014.05.03

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