あなたが好きなのです | ナノ

「またか……」

何度目だろう。数えたことも無いし、記憶に残っていない分もあるだろうから……考えるだけで頭が痛くなる。

人は死んだら生まれ変わるだの何だの言われているけれど、まさか自分がそのまま生まれ変わるなんて思うはずもない。実際は生まれ変わっているのではなく全く別の何かによって同じ日を繰り返しているのだろうけれど。おかしな話だ。誰が何の目的でそんなことしているのか分からないし、私が死んでからそれが発動される意味も分からない。

それに、以前は記憶が全く無かったことから本来はそういうことも改変されてしまうのだろう。けれど今の私にはここ数回の記憶がある。何回目にどうやって死んだのか、その場に誰がいたのか。生憎殺した人間の姿は覚えていないけれど。散々酷い仕打ちを受けたものだ。何度も何度も殺したくなる程に私が憎いのか。そもそもこの繰り返す現象と私が殺されることには関係があるのか。一つ引っかかるとすれば、よく傍にペタがいるということだ。

「その辺も関係してくるのかな……」


「アオイ、ちょっと用事を頼まれてくれないかい?」

「別にいいけど」

「ありがとう。実はとある村で売っている本が欲しくてね」

「ふうん。それを買ってくればいいの?」

「うん」

ファントムに村の場所と本を詳しく教えてもらって、言われた通り買い物にやってきた。本くらいなら私じゃなくてもいいんだろうけれど、ファントムはやけに私に頼み事をしてくる。ペタの手伝いだってそうだ。私くらいしか出来る人間がいない、なんて言っておきながら最初から私以外に頼む気なんて無かったのだろう。それは私がペタを好きなことに気付いて、ファントムがお節介をやいてくれたのだろうとは思う。そもそもどうしてファントムがお節介をやくのかは知らないけれど。

まぁ折角やいてくれたお節介を無駄にするのも勿体ないし、本を買ったら告白でもしようか。

「好きなんて言ったら驚くのかな」

なんて小さく呟いてしまって、あぁフラグ立ててしまったと後悔した。案の定店の中に入ったら火事が起こって外へ出られなくなってしまうし、ファントムに頼まれた買い物さえ満足にできなくて、苦しくなってくる息と肌がじりじりと焼けていく感覚に嫌悪感を抱きながら目を閉じた。


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