ポケモン短編 | ナノ
Big Child

「ナマエ! ナマエ!」

「? 何ですか?」

「おやつ!」

「まだ11時ですよ…もうすぐお昼ご飯なんですから我慢してください」

「やーだー!! おーやーつー!」

何でこの人は我慢出来ないのだろうか。そう思いながら溜め息をついた。

未だおやつおやつと駄々をこねるクダリさんは、じっと挑戦者を待つことに飽きてしまったようで、私はいつ逃げ出すか分からないこの人の監視役だ。

「おーやーつー!」

「朝ご飯食べなかったんですか?」

「食べたよ」

けろ、と答えられたが、朝ご飯食べた上でそんなにおやつを欲するなんて、どこまで彼は子供なんだろう。一応私より年上のはず。

「おやつはベツバラ!」

「そんなOLのスウィーツはベツバラみたいに言わないでください」

今は我慢ですよ! と言うとクダリさんはぷくっと頬を膨らませ、不機嫌になってしまった。正直見た目かなり面白い。思わず膨れた白い頬をつついてしまった。

「もうっ! なにするの!」

「いや、随分と可愛らしいほっぺがあったので、つい」

「ぼくもやる! ナマエほっぺ膨らませて!」

「えー…」

本当に子供のようだ。そう思いながら言われた通り頬を膨らませた。すると満面の笑みを浮かべ人差し指をつき出したクダリさんは、私の頬をつんつんとつついてくる。

「ナマエのほっぺ、柔らかいね!」

「はあ…」

あなたも十分柔らかかったですよ。

なんて思ったけれど、敢えて口には出さなかった。目の前の白を纏う人が、とても満足そうだったから。

「あのね、ノボリもあぁ見えて柔らかいんだよ!」

「そうなんですか」

「あと、よくほっぺ赤くする!」

「あぁ、それはよく見かけますね」

と、ほんの少し油断したら、またクダリさんが私の頬をつついてきた。どんだけこれが気に入ったのだろうか。

「ナマエ、おやつ」

「またですか…もうすぐお昼ご飯ですから、我慢してください」

「おやつ!」

まるで幼稚園児と話してるようだ。

未だつんつんとつつく彼は、楽しいのかそうじゃないのか、いつもの笑みを浮かべていた。


Big Child

end


あとがき

まぁ、タイトルそのまんまと言うか。
甘は微塵も入ってません…。

2012.02.03

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