君を守る為に君を傷付ける
「不公平だっ!!」
そう言って白い頬を膨らませる彼女は、一瞬子供かと見間違えた。
「どうしたんだ、ナマエ」
「アルヴィスばっか強くなってアルヴィスばっかかっこよくなって…不公平だ!」
どうにも彼女の言葉は理解しにくい。
「ナマエはかっこよくなりたいのか?」
正直俺は、自分がかっこいいなんて思ったことは一度もない。
それに、俺としては彼女は可愛くいてほしい。それが彼女らしいとも思うんだ。
「かっこいいって言われてみたい」
「かっこいいよ」
にっこり笑って言ってやったら満足するかと思ったら、逆に機嫌を損ねてしまったらしい。
ナマエには笑っていてほしいのに、どうして俺はいつも笑顔にすることが出来ないのか。
ベルはあんなに笑うのに。
「アルヴィスはズルいよ。いつもいつも私の前にいて、私を守るんだもん…」
「俺がナマエを守らなくて誰が守ると言うんだ…」
「違うの! 守られてばかりはもう嫌なの!」
確かにナマエは強くなった。
だがチェスを倒せるかは別問題だ。
彼女をチェスと戦わせるわけにはいかない。
それが例え、俺のエゴだとしても。
「ねえ、アルヴィス…私もう、足手まといは嫌だよ…」
今にも泣きそうな表情を笑顔に変えるには、まだ時間がかかる。
ゆっくりでいい、俺はナマエを守り、またあの頃のような笑顔を浮かべさせてみせるさ。
「ナマエ、すまない…」
やはり戦わせられないと伝えたら、彼女は酷く落ち込んでいた。
君を守る為に君を傷付ける(ナマエの悲しい顔は俺も辛いんだ…)(だから、早く…)(この戦争を終わらせる)
end
あとがき
この間アルヴィス夢が没になったからリベンジ。
した結果がこれだよ…orz
思ったより夢主が子供っぽくなったし、思ったよりも短かった。
2011.11.27
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