MAR短編 | ナノ
雪だるま制作中

「アルヴィス、えいっ」

固く握った雪玉を投げた。

ボスッ…と音がすると雪玉は見事アルヴィスの頭に命中。

「ナマエ……」

「いやぁ何か丁度いい寒さだねぇ。やばい、元気出てきた」

「お前……」

「暑いと何もやる気でないけどこう寒いとやる気出て来るっていうか。遊びだけど」

「俺の話を聞け」

雪だるまを作ろうとし始めていたナマエはしゃがんだままアルヴィスを見上げた。

「なによー。雪だるま作るくらい、いいでしょー」

「あぁいいさ。だが俺に雪玉をぶつけてくるな」

「あら、嬉しくなかった?」

「ナマエは雪玉をぶつけられて嬉しいのか?」

「嬉しくない。けどあの雪玉は私からのささやかなプレゼントだったのに」

「よし、13トーテムポール!」

本当にARMを発動しようとしたから雪に頭つけて土下座した。

「つかむしろ13トーテムポールなんて使って雪を汚くしてほしくない!」

「どんだけ雪が好きなんだ」

「アルヴィス以上?」

「ア・バオア・クー!」

「そんなことで最強ARM使うなよ!」

「冗談に決まってるだろ?」

「(冗談に見えないから慌ててるんだよ)」

ナマエはとりあえず雪だるまの制作を再開させた。

「雪だるまなんて作って楽しいのか?」

「楽しいよー。可愛いの作るんだー。小さいのでもいいけど大きい方がいいよね」

「スノウに頼めばいくらでも見れるのに」

「自分で作るってのが大切なのよ」

「そういうもんか?」

アルヴィスはじぃっとナマエが作る雪だるまを見ていた。

小さい雪玉が雪の上で転がりどんどん大きくなっていく。

「でもスノウのスノーマン欲しいなぁ。あれ可愛い」

なんて言いながら手を動かすのを忘れない。

やがて大きくなった雪玉に、さらにそれより一回りくらい小さめの雪玉を上に乗せた。

「馬鹿力」

「アルヴィス、女の子に馬鹿力なんて言ってはいけません」

ARM使いなめんなよ。と付け加える。

「少しは俺を頼るとかすればいいのに」

「頼ったら手伝ってくれる?」

「ナマエの態度次第だな」

「また土下座しろと? だったら頼らない」

「いや、例えば冷え過ぎてかじかむ手を温めてくれるだとか」

「アルヴィスは私にそんなこと望んでんの?」

「あまり望んでいない。しかし手がこのままじゃ凍りついてしまいそうだ」

アルヴィスは自分の手をポケットから出して見つめた。

それにナマエは手袋を外し、冷たい空気に触れた手でアルヴィスの手を包む。

「ごめん、私も冷たいかも」

「冷たい。指先が」

でも、手の平は温かい。

「氷使いだし、寒さには耐えられるのよね。それに私さっきまで動いてたし」

「暑さには耐えられないけどな」

「あはは。だって氷使いだもん。冬万歳」

「夏は外に出ないくせに秋になって涼しくなると外に出る」

「暑くなければ動きたくなるんだもん」

「俺は冬は部屋の中にいたい」

「じゃあ雪だるま作り終わったら部屋に戻ろうか。そんで暖かいお茶でも飲もう」

それにアルヴィスは頷いた。

「じゃあちょっと待っててねー」

ナマエはアルヴィスから手を離し、再び手袋をつけて雪だるまに目と鼻と口などをつけた。

葉っぱで出来た目と鼻に、枝で出来た口に、自分が巻いていたマフラーと手袋をかぶせた枝をつける。

「よーし完成! おっ、また雪降ってきた」

「また積もるな」

「雪だるま崩れるかな…まぁいいか。マフラーと手袋が犠牲になるだけで」

「良くないだろう」

「いいの。じゃあ部屋に戻ろうか」

「ほら」

アルヴィスは手を差し出す。

「繋いでくれるの?」

「俺が寒い」

「そう。じゃあお言葉に甘えて」

ぎゅっ…と繋ぐ。

「冷たい」

「アルヴィスのもね」


雪だるま制作中

(コーヒーと紅茶どっち?)(コーヒー)(じゃあ私ミルクティーにしよう)

end

back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -