君は何を求めてるんだい?
と、貴方は仰りましたね。私のような遊女にそのようなことを聞くなんて、本当に変わってる。
そうですわね、あえて言うなら…
『愛、ですかね』
「愛?そんな目にも映らない不確かなものかい?」
『えぇ。目に見えないものだからこそ欲しいのです。』
「ふーん… そんなものか」
『神威さま…貴方様はどうなのですか?』
まるで汚れを知らないかのような笑顔の下には、沢山の人を殺し、その血を浴びてきた残酷な殺人鬼がいるのですね。
私には血の色が何色かなんて分からないけども、私の唇や赤く塗られた爪よりも鮮やかな赤なのでしょう。
「僕は…この、渇きを潤せるなら何でもいいや」
『渇き、ですか。…それは心の?』
「魂の渇きだよ。」
『魂、ですか…私には少し難しゅうございます。』
「…そうだ、君の欲しがっていたものをあげよう。」
『愛を、ですか?』
神威様に愛が分かるとは思えませんが…
本当に私の求めている愛をくださるのですか?
私を、愛してくれるのですか。
ぐさっ
『…え?』
「ふふ 凄く綺麗だ」
『かむ、い様…?』
「前に血の色が見てみたいと言ってたじゃないか。ほら、君の好きな赤だよ」
『…そう、ですね。すごくき、れいな赤・・・』
神威様、貴方の愛は凄く綺麗で儚いものですね。
血は私の唇や爪とは比べ物にならない程、赤くて美しいものですわね…
そう考えてる間も、私の頭はボーっとして来て手先は熱が奪われて冷たくなっていく。
…もう私は、死んでしまうのでしょうか?
神威様、私はあなたを愛しておりました。
私が最後に見た貴方は、いつものような笑顔で泣きそうなとても悲しい顔をしていました。
(僕も、愛していたよ。)