『…謙也くん、お願いがあります』
彼女の由夜が急に真面目な顔してんな事を言うて来よった。
出会うて2年以上、付き合うてからは1ヶ月ちょっと経つんやけどこんな真剣な顔なんて今まで見たことないわ。
それに普段呼び捨てなんに何で急に君付けやねん。しかも関西弁やのうて標準語とかむっちゃ怪しいわ。
え、まさかの別れ話とかやないよな?お願いやからちゃうと言うてくれ…!!
『ちょ、謙也話聞いとんの?』
「え、なんか言うとったか?」
『はぁ… 人の話ちゃんと聞いといてや』
「す、すまん」
『そんなんやから謙也は白石と違うてモテへんねん』
何で話聞いてへんだけでそこまで言われなあかんねん!
ちゅーか自分の彼氏そのモテへん俺やん!…え、もしかしてマヂでフラれんの?
しかも白石に乗り換える気なんか?
あかん、白石だけはあかん!!いや、財前もあかんけど、奴はもっとあかんねん!
「由夜、白石だけはあかんからな!」
『は、何が?』
「それと俺は別れる気なんてあらへんからな!」
『え、ちょ… 話が全く見えへんのやけど』
「せやから由夜が俺と別れて白石と付き合いたいとか思っとっても俺は絶対別れへんし、白石にも譲る気なんてあらへんからな!」
『は?謙也何言うてんの?』
・・・・・。
もしかして俺、全然ちゃう話を勝手に勘違いしとっただけなん?
恥ずっ!俺めっちゃ恥ずかしい!!
『…謙也』
「…なんやねん。」
『私は謙也しか見とらんから安心しぃや』
「お、おん」
俺が白石に嫉妬してたんに気付いてたんかい。
俺めっちゃ痛いし、嫉妬しとるん彼女にバレるとかダサい奴やな。
つかコイツ、俺より男前やな…
『あ、せや。謙也にお願いある言うたやん?』
「おん。」
『触ってもえぇ?』
「は?」
『せやから謙也の髪、触らせてくれへん?』
「えっ」
(は、恥ずかしくて無理っちゅー話や!)