私の想い人、白石蔵ノ介は幼馴染みや。
この15年間私はずっと蔵への気持ちを押し殺しとった。
ある意味、演技派女優より凄いんとちゃう?
蔵はサラリと人が恥ずかしい思う台詞を真顔で吐いてくるんや。
可愛いやらその服似合ってるやら好きやら…と。前は毎回照れとったけど最近は相手にしないことにしとる。
そう、やって蔵は私の想いに気付いてないんやから…
「由夜、聞いてくれへん?」
『…今日は何なん?』
「昨日な、メール出来てん。ほんま、可愛ぇんや!」
蔵にはずっと前から好きな人がおるらしい。
昨日は私かてメールしたんに…
その子ともメールしとったから途中で返事が遅なったん?
幼馴染みとの絆って所詮そんなもんなんやね。私はこの関係でも蔵の近くにおれればえぇと思っとったけど、それすらあかんの?
やったら、遠くから蔵を見とるだけのファンの女の子の方がえぇわ…
「どないしてん由夜」
『な、何がや?』
「…涙出とるやないか。」
『…え?』
「どっか痛いんか?」
…そんなん心が痛いに決まっとるやん。
両想いになりたいなんて思わへん。蔵に彼女が出来てもうてもえぇ。
やから、やからせめて友達のままでおらせて。一番仲のえぇ幼馴染みのままでおらせて…
「白石ー 女子が呼んどるで!」
「謙也、悪いんやけど断っといてくれへん?」
「…おん、分かったわ」
「由夜、大丈夫か?」
狡い、蔵は狡いねん。
人がせっかく蔵への想いを断ち切ろうとしとるんに。好きでおるのやめようと思っとんのに。
もっと好きになってもうたやないか。
やっぱり蔵の幼馴染みで良かったわ。周りにおるファンの女の子じゃこないな事してもらえへんし。
…私は何度こんなんを繰り返したらえぇんやろか?
(両想いなんやから早うくっ付けっちゅー話や)