私の好きな曲はインディーズのV系バンドのものや。
別に追っかけやバンギャルに成る程の熱狂ぶりやあらへんし、純粋にメンバーと曲が好きなだけや。
しかし今、その純粋な好意が崩れて、かなりマズい状況になっとるのは確かや。
…あぁ、ただバイトに来ただけなんに。バイト先にバンドのメンバーがおるからって、気軽に声かけてもうたんが悪かったんか?
「…自分、俺のファンやねんな?」
『は、はい』
「何でここにおるんや。…もしかして尾行してたんか?」
『ちゃ、ちゃいます!今日からここでバイトするから来ただけです。』
「あぁ、新入りって自分の事やったんか」
『はい。』
「ま、ファンやからって優しくせんから覚悟しとき」
そう、なんと今日から私が働くこの店に大好きなバンドのギターを担当しとるHikaruも働いとったのです!
もう嬉しいやら何やらで頭が混乱しとるわ…
更に驚きなんは、この店がV系とは程遠い静かな喫茶店だからである。
『Hikaruさん、お先に失礼します』
「光や、光」
『は?』
「せやからHikaru≠竄ネくて光=v
『は、はぁ… えーっと私は…』
「由夜やろ?」
『はい。』
「ほな、お疲れ様」
第一印象はむっちゃ怖かったけど、実は優しい人なのかもしれんな。
それにあんな笑顔、ライブの時は見せへん。私だけの特権かもしれんわ。
…そう思うと、次にバイトで会えるのが楽しみになってきたわ。
前からやってみたかった財前バンドマン設定。
主人公は結局、バンギャルじゃなくなった…
予定だと続きます、多分←