「うーん…」
「白石、真面目な顔してどないしたん」


俺はこの後、部室に入ってもうたことを後悔することになる。


「いやな、財前とユウジってどっちが上なんか気にならへん?」
「は?」
「やから、財前とユウジはどっち…」
「それはもう分かったっちゅーねん!俺は何でそんな考えに至ったかっちゅーのを聞いとんねん!」
「やって気にならへんか?S同士なんやで」
「確かに気になるわね…」
「「小春!?」」
「…せや、そろそろ二人が来る頃やからロッカーに隠れて様子を見ぃひん?」
「はぁ?何言うて…」
「えぇなぁ、それ!」
「やろ?ほな、ロッカーに隠れまひょ」
「それって覗きやん!俺はやらへんからな!!」
「何言うてん。謙也に拒否権なんてあらへんわ」
「な…!!」


やっぱりもっと後に来れば良かったわ。いっつもスピードばかりにこだわっとるんがいけなかったんかな・・・
てか俺、何で白石に話しかけてしもたんやろ?
それにユウジに財前も来てしもうたし…出るに出られへん。


「ユウジ先輩」
「何や、財前」
「バンダナずれてますわ」
「え、ほんまか」
「…直したりますわ。こっち向いて下さい」
「え、ちょ…」


こいつらいきなりラブラブしよった…!!
ユウジも赤くなっとらんと、抵抗せぇや!!
てか、小春も俺にくっ付くなや!なんやテニス部はホモばっかりか!


「ユウジ先輩、顔赤いっすわ」
「う、ううううるさいわハゲ!!」
「ハゲてへんすわ。えぇから、目ぇ瞑って下さい」


えぇぇええ!!こいつらもしかしてここでキスするつもりなん?
ちょ、待て。他人(しかも男同士)のキスなんて見たないわ!
出る。俺はこの密室から出て、自由を手にするんや!!


「謙也くん、あかんで。今動いたら二人にバレてまうやろ?」
「知るか!こんな状況のままなんて拷問同然や!!」
「しっ!!ロッカーを揺らすから財前がこっちを気にしとる」
「気にしてもらった方が好都合やろ!」
「…それよりユウジが受っちゅーことにビックリやわ」
「その結果が出たんなら、もうここから出ようや!」
「…それは無理みたいやわ」
「は?」





「ちょ、財前!誰か来たらどないすんねん…っ」
「大丈夫っすわ。今日は来たの早いし」
「でも…んっ」
「ユウジ先輩、可愛ぇ」
「煩い…わ、アホっ」


うわぁぁあ!!こいつら完全に自分たちの世界に入ってもうてる!
ちゅ、ちゅちゅちゅーか、普通に部室でキスすんなや…っ


「財前、ほんまあかん…っ」
「財前やなくて、光やろユウジ=H」
「ひ、光あかん。ほんま、あかんて…んあっ」
「えっろ」
「煩いわ…っ」
「そんなエロい顔、俺以外に見せんといて下さいね?」
「見せる訳ない、やろ…っ!!」



「…これは光、気付いとるわな」
「え?」
「おん。俺達にユウジは自分のもんやって見せつけとるんやろな」
「嫉妬深いやっちゃ。」
「え、え…?」
「あぁ、謙也は別に分からんくてえぇよ」


そのあと俺達がロッカーから出れたんは1時間後やった。
…もう、あんな光景見たないわ。


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