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財前はみんなが帰った部室で悩んでいた。短冊に書くことが思い付かないのだ。
「なんて書けばえーんかなあ。全っ然思い付かへんわー。」
財前が願い事を考えていると部室のドアが開いた。
「あれっ?光?まだおったんか?」
「…謙也さん?」
「何してるんや?」
「あ〜、短冊書き終わってなくって…。書き終わるまで帰ったらアカンって部長が…。」
「そんなんぱぱっーと書けやー!!」
「ぱぱっーとねー。…大体、自分の願いも叶えられへん奴に願うっておかしないっすか?」
「そない夢ないことゆーなや(笑)まあ、今欲しいものとか思ったこと書けばえーんとちゃう?」
「思ったこと。……よしっ!!書けました!!
「はやっ!!お前ホンマに悩んでたんか!?…何て書いたん?」
謙也が短冊をみると一言だけ書いてあった。
ぜんざいたべたい。
「お前なあー。これはないやろっ!!」
「やって、謙也さんが思ったこと書けってゆーたんやーん。」
「はあ。まあ、ええわ。はよつるして来いや。帰ろうや。」
「ほーい。」
***
財前は自分の短冊をつるしていると謙也が何を書いたのか気になった。
「謙也さんの短冊は……あった!!って、ええっ///………!!?」
謙也の短冊、そこには……
光とずっっっと一緒におれますよーに。
「……ふはっ(笑)まったく///…恥ずかしい人やなー謙也さんは…///。」
財前が短冊を見ていると謙也が荷物をもって来た。
「ひーかーるー。つるし終わったかー?帰るでー?」
謙也から荷物を受け取り、少し赤くなった顔で財前は微笑んだ。
「謙也さん…あんなん書くなんて卑怯っすわ…///」
「へっ!?……お前っ!!短冊見てっっ///!!」
「………俺が叶えたります…。」
「…ひ…かる!!?」
「俺が叶えたりますよ!!謙也さんの願い事!!星なんかに願わなくったって離れません!!つーか、離れてやらないっちゅーねんっっ!!!」
それだけ言うと、財前は駆けだした。
「ちょっ!?まてや光!!」
財前を追うようにして謙也も駆けだした。
お互いにお互いが大事な2人。
赤面しながらも走り出す2人を夏空に流れる天の川から織り姫と彦星だけがみていた。