意識しちゃってください





昼休みのランチタイム。俺と謙也さんは毎日のように屋上で一緒に弁当を食べる。アホな話をしながら弁当を食べる謙也さんを見ながら考える。

謙也さんは俺のことが好きなんやと思う。自惚れなんかじゃなく。つか、モロバレやと思う。当の本人はバレてないと思ってるみたいやけど。

今も謙也さんはなんも気にせんでのんきに弁当を食ってる。のんきな謙也さんを見ていて思う。きっとこの人は俺が自分のことを好きだなんて夢にも思ってないのだろうな、と。
あれだけさんざんアピールしてるにもかかわらずに気付かないこの人は相当鈍感なんやろうな。まあ、俺が近づいただけで顔を赤くしてテンパってる謙也さんはおもろいからいいんだけど、実際そろそろ気づいて欲しいのが本音。思わずため息が出てしまう。

「なんや光、ため息なんかついて。」

何でもないです、そう答えようと顔をあげた瞬間見えたのは口の端に米粒をつけた何ともまぁアホ面の謙也さんの顔やった。

「……謙也さん、米粒ついてますよ?」

「えっ、ホンマに?どこどこ?」

俺の言葉に反応して口を触っているが一向に取れる気配はない。痺れをきらして取ってやろうかと顔付近まで伸ばしかけた腕を止めれば驚き謙也さんも動きを止める。

「えっと…、光?」

キョトンとした顔でこちらを見る謙也さんにちょっとしたイタズラが思い浮かんだ。

「謙也さん、顔こっち向けて。んで、そのまま動かないでください。」

俺がそう言えば不思議そうにしながらも黙って謙也さんはこちらに顔を向ける。まっすぐにこちらを見つめる視線にやっぱりかっこいいなぁ、なんて思いながらも手を伸ばして顔をつかむ。

そして―――――



ペロッ



「ごちそ―さまでした。」

「へ?え?えっ?えええええ!!?」

口の端に付いた米粒を舐めとる。

そんなことするなんて思いもよらなかったのだろう。謙也さんは顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。そんな姿がおかしくって笑っていたら背中に強い衝撃があった。まあ、この状況考えて謙也さんしかおらへんけど。

「おまっ、お前なあ!!そういうことやめえや!かっ、勘違いされんで!財前君はホモや〜!なんて、お前やって困るやろ!?」

「別にええですよ、謙也さんとなら。」

「へ?」

そう言って片付けておいた弁当箱をもって教室に戻ろうと屋上の扉を開く。振り向いて放心状態の謙也さんに向って一言。

「ホンマいい加減気付いてくれないと嫌っスよ?」

唇から感じた熱を思い出して頬が赤くなるのを感じて思わず笑った。



(すき、)(なんて)
(つたえてやんないんだから)












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