04



アイツと同い年になってしまったという不幸な理由で私の運命は360度大きく変わった。


不幸な日々を送りつつ私の幸せな時間。
それはデザインの授業。


「えーそれでは君達も2年になって来た訳だ。
この時期は毎年恒例の作品展覧会がある。是非とも、実力を充分に発揮して貰いたい」


私が楽しみにしていた作品展覧会。
此処で一先ず実力を十分に発揮出来れば大学の指定推薦の範囲にも役に立つ。



『(絶対に好評価取ってやる!)』



「そこで―――――…だ。
今年は特別として何と建築科とグループを組んで共同制作の作品を作る事になった。
喜べ、決めるのは自由。これから建築科が教室に来てグループ決めをするぞ」



「え、マジで。結構嬉しい!!」
「共同制作なら手間省けたりして!?」

「キャー!!建築科って仁王君でしょ!」
「私、グループになりたい〜」

「ちょっと抜け駆けはズルいわよ」
「いっその事なら平和的に皆で組む?」
「でも仁王君がデザイン科の教室に…キャ〜〜〜!!」


教室が騒ぎ出した。当たり前の事だ。


『(嘘だ…夢だって言ってよ。何で仁王雅治の建築科と…?!
ちょっと待ってよ…誰かと組んで足引っ張られたらシャレになんないし)』


不幸だ。また神は私に不幸を送るんだね。


『(大丈夫、建築科でも1人ぐらいミーハーじゃない女子が居る筈。
私以外の女子は仁王雅治を狙ってる…絶対に大丈夫)』


私はこれ以上この作品展覧会の制作に不幸が来ない様にと無事を祈った。


そして数分後に建築科が教室にやって来た。
無駄に整った容姿が彼自身だとすぐに解る。アレに騒いでいる雌人間に理解不能だよ。
呆れている私は地味に目立たずにデッサンの練習をしていた。



「じゃあ早速グループを決めようか。平和的に決めるんだぞ〜」


先生が合図をした途端、ミーハー共が無駄に五月蝿かった。



「キャアアアアアアァァ!!仁王君カッコいい!!」
「仁王君…私と組んで!!」
「私とよ!!!引っ込んでてっ!!」
「何よ。文句ある?」


仁王雅治を囲み口論を繰り広げていた。やっぱ雌人間の世界は怖いな…。


『(……建築科には女子居なかったみたいだな)』


希望が実現出来なかった為、私は残り物で構わないと思いグループ決めに参加しなかった。
もう足引っ張るとか関係ない。させなければ良いの問題。


「嗚呼、女子は仁王に盗られたな…」

「でもさ…あそこに座ってる女子って絵が上手いって有名な緋田だよな?」
「じゃあ俺狙おうかな〜」



自分勝手で意味不明なそれぞれの感情の雑音が五月蝿い。
嗚呼…こんなの早く終わって制作に入りたいよ。



「…お前さんグループ決めてないじゃろ?」

『えっ………?』


顔を上げた瞬間、私は身動きが取れなかった。
先程までミーハーに囲まれていた彼が自分の目の前に居るのだから。


「俺と組まんか?俺、組みたいんじゃ…緋田さんと」

『仁王……雅治と……?』



雌人間の嫉妬の殺気と男子と先生の驚きの視線で教室中の空気は重くなり、私の思考回路がとてつもなく鈍くなった。


『(自ら誘われた…不幸だ………)』




彼女の不幸に運命を変える大きな境界線が出来た


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