波
『嗚呼…大坂に帰りたい』
いくら脅しの強制だったとは言え、これは酷過ぎる。
私…柚原都琶は嫌、渡邊都琶はそう思った。
始まりは全て悪夢な波乱の幕開けだった。
遡る事1ヶ月前の春休み―……。
pipipi………
『…オサムちゃん電話鳴っとるよ』
「今、手ェ離せへんで都琶が出てくれへんか?」
『只今小生は黒執事に夢中である』
面倒臭かったらしく叔父のオサムに振る。
「また夢小説かいな。しゃあないな……」
オサムは作業をやめ電話に出た。
この電話が都琶にとって悪夢の電話だと知らずに。
「はい、渡邊です〜って姉貴か?
おん、アイツだったら居るで。都琶〜オカンから電話や」
『はーい。(……今、良いトコだったのに)』
オサムから電話を受け取り出る。
『もしもし、どうしたのママ?』
《都琶ちゃん久しぶり!元気?彼氏出来た?!》
『私は3次元の男には興味ないわ。
期待外れの発言じゃなくて堪忍な』
《も〜そんな事言っちゃ駄目でしょっ!!
そうそう…今日はね重大な発表があるの》
『何やねん…簡潔に頼m《2年生から四天宝寺に進級しずに東京の氷帝学園って学校に転校してね♪
ママからは以上です〜Vv》……は?』
《聞こえなかったカナ…氷帝に転校して欲しいの》
『嫌や!嫌や!何やその腐った冗談。
絶対に嫌や……皆と別れたくない。それに今更東京行けて…』
《……都琶ちゃんママのお言いつけ利けないの?
貴女には悪いけど氷帝に行って青春して欲しいし自立して欲しいの。
それに家は裕福な家庭…パパの仕事上レディーの嗜みを学んで欲しいの》
母が怒る事に電話越しから怯えている都琶。
滅多に怒らない性格上、怖いらしい…。
『…あかん酷過ぎる。
アメリカから帰って来て仲間が出来て…無愛想な私は友達作るの下手くそやのに何で都会の東京行かなあかんの!?』
「……………」
怒鳴る声にオサムは見守れるだけ。
《分かった都琶ちゃん。
貴女がそれだけ大坂が好きだって事伝わったわ。
それじゃあ条件付きで転校して頂戴》
『条件て……一方的やな』
《1つ、氷帝の編入試験に合格する事。
2つ、部活に絶対に入る事。
最後に3つ…貴女自身の青春を見つけなさい。それだけよ。
それで半年経って駄目だったら大坂に帰りなさい》
『それだけ…?』
《そう、それだけ。まあ簡単にいくかしら?》
『その条件ノるわ。絶対に私は大坂に帰えったるけどな!』
《じゃあそうと決まれば必要な荷物だけまとめて早く東京に行ってね。
住む家は昔住んで空けているマンションがあるから。
後…編入試験は5日後だからこれから頑張ってね♪
詳しい事は試験が終わってからで。See you!!》
ガチャッ!
電話が途絶えた。
『嗚呼…何でこんな無茶苦茶で強引なんや!!!!!!』
我を取り乱した。
その頃オサムはベランダで1人タバコを吸っていた―。
「…都琶が転校か。
絶対アイツ等が喧しくなるわ」
独り言を口にしていたオサムの目は…とても悲しい瞳だった…。
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