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【財前side】

ドアが閉まった時でも都琶は笑ってた。
でも本当は泣いてるんやないかと思うと東京に行かせたくなかった。

「行ったな。ほな帰るか」
「皆〜早う帰って練習すんで〜」

オサムちゃんが招集をかけた。


「私は家に帰って自習練するか。
なあ財前………」

渡海が俺を呼ぶ。

「…何や」

「その様子やと告白せえへんかったな?
ええんか…他の男に取られても」

その無駄に鋭い言葉に俺は息がつまった。


「メガネで虫除けはしといた。告白は…別に…っ」

「まあ関係あらへんけど…手遅れにならんようにな。ほなな」


……………手遅れか。



「財前ー?」

「今行きますわ…」

走って部長達の所へ戻った。


「よっしゃ、気合い入れて学校までランニングやー!!」

「フンッ…この浪速のスピードスターにはちょろいもんや」


「謙也さん…ウザいっすわ」

「財前?!!((号泣」






俺が告白せえへんかったんは…嫌われたくなかったからや。

もしフラれて気まずくなるんは嫌や。
今の関係が崩れとうない。

このままぎくしゃくして一生…遊んだり、アホやったり、曲作り出来ひんとか有り得へん。


結局は……俺のいくじなしっちゅー訳。


「都琶…」




俺はなぜか愛しく無意識に呟いた。



END


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