「よし、都琶。メガネかけて学校の連中に今の姿がバレなかったら自分の勝ち。
バレたら自分の負け。商品付きの一種の賭けや」

『その勝負ノったー!!』


「「「早っ!てかええんかい!」」」

一先ず都琶に悪い虫は付かない事に安心した。


『光、商品は何でもええ?』

「ええよ。俺が勝ったら甘楽堂のスペシャル善哉3回奢れ」

「そんならこっちはアニメイトで3500円分奢れ」

交渉成立した。
きっと財前は都琶が了承する為の作戦だったのだろう。



「…てかさ都琶の転校先って何処?」


『あ〜〜〜…』


皆知らなかった様だ。どうやらオサムは全く話していない。


『氷帝学園っちゅー金持ち学k「何やてーー!?」…謙也?』

突然本日2度目の叫び声を出す謙也。

「あかん…。そこ俺の従兄弟が居る学校や!危険すぎる!!」

『ウソーーーッん!!』


謙也は都琶に抱き付いた。横で財前が睨む。


「侑士は危険すぎる!ええか?
忍足侑士には関わっちゃ…近づいたらあかんで!!」

『おっおん…。でも何で?謙也の従兄弟に会ってみたい…』

「侑士はなロリコンで変態で都琶みたいな足が綺麗な子が好みのタイプで…『直径100m近寄りたあない!』…よっしゃ!!!(本人談)」

その言葉を聞いてほっとした。


「虫除け完了やな。なっ白石」

「よおやったで謙也。スピードだけしか取りえない癖に」
「謙也さんおおきに。…へタレやけど一応感謝しますわ」

「酷っ!!((泣」

…その前に虫除けの話など都琶は全く知らなかった。


そして乗車の時間が来た。それまで白石、謙也、小春、李世にぎゅうぎゅうに抱き付かれていた。
だが財前が殺気オーラを放ち、危険を感じた為離れた。
因みにユウジは浮気かー!と言っていた。

新幹線のドアが開き乗車する人々。その場に立ち止まりくるりと新幹線に背を向けた。


『さよなら言わへん。だから…またね。
………行って来ますっ』


「「「「「行ってらっしゃい」」」」」

『皆オサムちゃんの事頼むで。
後、新入生には優しくやからな』


「嗚呼。この部長に任しとき」
「都琶〜ごっつ酷いで〜」




『…光』

「ん?」

『堪忍。やっぱ何でもあらへん』

そう、笑顔で新幹線の中へと入った。


「何やソレ……」


その瞬間ドアが閉まった。皆は手を振りながらギリギリまで走った。

都琶は座席に座った後、頬に生温かいものがスーッと伝わった。
涙だ。


『泣かないって…決めてたのに…』

声を殺して泣いた。

そして無意識で…光と呟いた。

ここから…波乱の幕開けが始まったのであった。




私はあの時の光が言いたかった事。私が光に何でもあらへんと言った事。
気持ち、呟いた事などすぐに忘れてしまった。

その"何か"に気付いていないから―――…。


またね、大坂。
初めまして、久しぶり…東京。

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