け
「やっと来た。先輩等遅いっスわ」
『何で皆が……てか練習は!?』
乗車時間が迫っている中、白石、謙也、ユウジ、小春、オサムは息を切らしながら走って来た。
あの自称、通称…浪速のスピードスターの忍足謙也でさへ疲れ切っていた。
『……アホ…皆アホッ!!
何で来たん?そんな暇があるなら練習せんかい!
私は…全国行って欲しいから内緒にしっとったのに台無しやん』
「「「「「「……………」」」」」」
「アホは自分の方や都琶!!!」
怒鳴り付ける謙也。
「何で内緒にしたんや。俺達はそんな薄っぺらな関係なんかい?
大事な仲間の見送りに行かないアホが何処に居るん」
「謙也の言う通りやで都琶。
折角の練習時間、潰す事があっても倍やればええっちゅー話や」
「そうよ都琶ちゃん!」
「死なすど、このチンチクリン」
「ホンマに……都琶は世界一のアホ王者やわ」
『…光…蔵…謙也、ユウジに小春…。
ホンマ……おおきに……おおきに…』
たくさんの笑顔がこぼれ出した。
すると……
「都琶ー!!!」
『は?』
「ひ?」
「ふ?」
「「へ?」」
「ホンマに来たわ。イヨカンが」
声がするその先には四天宝寺テニス部Rの銀と小石川、そして片手にバスケットボールを抱えている少女が走って来た。
「2人共お疲れさん」
「良かった〜間に合ったか」
「うむ…その様」
現れた突如、少女は都琶を抱きしめた。
「都琶!!」
『ぎょっ……苦し…いでっ…李世』
「転校する話一言も聞いてへんで!」
『堪忍…折角レギュラー貰えたから邪魔したくなかったんや』
先程と同じく迷惑を掛けたくなかった様だ。
「教えん方が迷惑や!
今日行き成り石田さんと小石川さんに聞かされて吃驚したで…。
練習放り出したわ。…っあ言っとくけどサボりちゃうで、早退や早退!」
「都琶。自分は東京行っても1人じゃないで」
『オサムちゃん……おおきにな。
皆に話してくれたんオサムちゃんしか居らへんしっ』
「……何の事やろな〜〜〜」
気が付けば乗車まで後10分弱。
「せやった忘れる所…ハイ、都琶ちゃん♪」
小春に紙袋を手渡された。
「コレテニス部の皆からの〜餞別よ」
「それ昨日徹夜して皆で作ったんやで!
今日はクマのオンパレードや」
李世とオサムちゃん以外の顔を良く見ると少しクマがあった。
財前はクマが出来てるかは解らなかった。
『…開けてええ?』
「開けて頂戴!!」
紙袋の中身は四天宝寺テニス部のジャージとお揃いのリストバンドだった。
手作りの所為だが所々は本物と違った。
『私テニス部じゃないのに…貰ってええの?!』
「何寝言っとるん?都琶やってテニス部の一員や!
部長の俺が言うんや間違いない!」
部員全員満足そうな顔をしていた。
『…ホンマ皆堪忍な。ホンマ…おおきにっ!!』
「ったく…さっきから堪忍とおおきにばっかやん」
謙也は都琶の言葉に突っ込んだ。
「「アハハハハッ((笑」」
駅のホームは笑いで一杯になった。
ある意味注目されていた。
さすが笑かしたもん勝ちの四天宝寺。
「そおいや小春先輩、ユウジ先輩。例のアレ持って来てくれました?」
財前が問う。
「…例の」
「アレ?」
「「おん、持って来たで/わよん」」
小春とユウジに持って来て貰った例の物を財前は都琶に渡す。
『何やコレ…?』
「ダッサいメガネ。レンズの度は合わせてある」
『Why…?』
「転校したら絶対このメガネするんやで。
もう決定事項、拒否権なし、反対意見は認めへん」
『いやいやいや…って何でやねん!!』
「何でって言われても…。
(俺が傍に居ない間、都琶を他の男に見せとうないからやん)」
「「「財前必死やなぁ……((汗」」」
見事に小さな独り言がハモった白石、謙也、李世。
「(財前〜メガネ作戦ナイスや★
1コケシやろ。おっ、やろ)」
どうやら皆は都琶の素顔を曝したくない様だ。←
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