幕
倒頭、東京へ出発する日がやって来た。
一つ残念な事はオサムや四天宝寺中テニス部R陣は見送りが出来なかった。
なぜなら…関西大会を勝ち抜き全国大会優勝へと導くための欠かせない大事な練習があるからだ。
そして監督は叔父のオサム。見送りも呆気なかったのだ。
その前に都琶自身、テニス部のR陣に転校の件について一言も喋っていないのであった―……。
―――新大阪駅
『今日で大阪ともおさらばか…。
正しくは一旦やけど』
乗車する新幹線の時刻より1時間半前から駅に来ていた都琶。
『……皆に転校の話しなくて良かったんやろか』
「あっ……居たわ。おい、都琶」
『(後で話したら怒られるかな?蔵に怒られるのは嫌やわ…)』
「…都琶。無視か?このチンチクリン」
『(東京に行ったらこれから影で皆を支えれへんな……)』
「人が折角見送りに来たのに何やスルーか!?
反応せんかいっ!!凶暴碓河」
『…………って誰が凶暴碓河だボケェェェェェッ!!!
ほへっ…………光………???』
「やっと反応した。何やボーっとしてキモすぎる」
そこに現れたのは都琶の良き理解者でもありつつ、ある意味での相棒…財前光だった。
『アホ!てか、何でお前が此処に居るねん。練習どないしたん?!』
今の状況に着いて行けずに焦る。
「練習何か今はどうでもええわ。
それより……何で転校の話をせえへんかったんだ!!!」
グリグリ……、グリグリ……
財前は都琶の頭を拳でグリグリした。
『痛い!……それより怒ってますか〜?』
「めっさ怒ってるわ((激怒」
『ごめん………』
珍しく素直に謝った。
「もうええ……//
そんな顔すんな。これやるから元気出しぃ……」
そっと掌に渡された小さな包み。
中身を開けてみると…
『オニキスのピアス……』
「前、オニキスのピアスがカッコええとか言ってたから…。
これは俺からの餞別や。失くしたらシバくで」
財前からの小さな小さなプレゼントであった。
『…あっでも…どないしよう。
ホール開けないとこのピアス出来ひんわ〜』
今、左耳に2つホールを開けピアスを付けている都琶。
「右耳に開ければええ話やん」
『嫌や。私、ピアスは両耳にする主義ちゃうから』
「それは俺を侮辱しとるんか?それとも嫌みか…?((怒」
『どうやろ?((黒笑』
そして財前に貰ったピアスをどうするか未だに迷っていた。
『……せやっ!』
「ん???」
『このピアス外す。だから光コレ私だと思って持っといてくれへん?』
「ええよ。
けど…このピアスを都琶だと思うのはキショッ……」
『にゅっ……死なすど』
アメリカでしていたピアスを外し財前に渡す。
左耳は財前からのオニキスのピアス。
もう1つは兄的な存在の幼馴染からの真紅のピアスで飾られた。
「…結構似合うで///」
『おおきに。
光…ずっと大切にする!!』
「おん……」
都琶の嬉しそうな笑顔に財前は影で照れていた。
『乗車まで後40分ぐらいやけど…そろそろ行くわ』
「俺も行くで。見送りする為に来たんやからな」
『えっ……でも練習……』
「今は気にするな」
『……………おん』
肩を並べ新幹線の改札口に向かう2人。
財前は1度入口の方面へと振り返った。
「(オサムちゃんや部長や謙也さん……遅すぎる)」
『どうした光?』
「嫌、何でもない」
一方…オサムちゃんと他のR陣達は―――…
「あかん!急がんと新幹線の時刻に間に合わんっ!!」
「ホンマかオサムちゃん!?
皆、もっとスピード上げるで」
「白石!浪速のスピードスターに任しとき」
「煩いへタレ」
「酷っ!!クソ〜財前だけ先に行かせたけど美味しいトコ絶対に取っとるで…((泣」
「ユウく〜ん」
「小春〜〜」
必死に新大阪駅まで走っていたのであった。
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