過ち | ナノ
柳生が泣いている。
俺のせいで、俺のために、柳生は目の前で涙を流す。ごめんなさいごめんなさい、何が? 分からない。理解なんてできないけれど、ごめんなさい。
のう柳生、俺達は何を間違えた?
のう柳生、俺達はどうあるべきだった?
のう柳生、俺達は。
――仁王君。私はね、あなたを好きになったこと、決して後悔などしていないんですよ。
柳生は笑う。けれど確かに泣いている。ごめんな柳生。何が? やはり分からないままなのだ。
――私は、無責任なことは言いたくないんです。あなたに気休めでも「幸せになりましょう」なんて、言ってあげられないんです。
目から涙はぽろぽろ落ちてゆくばかりで、俺はつい目を背けたくなる。けれどそうすることを許さない。誰が、俺が。俺が柳生を見ていたいと感じるから。
――だから、お願いします。
一緒に不幸になってください。
そう言った柳生の目には曇りも迷いもなかった。
目の前にある身体を力強く抱きしめて頷く。自分にできるのはそれだけ。俺は柳生がこぼした哀しみの欠片を舐めとり、そのまま静かに目を閉じた。触れたくちびるは塩の味がした。
何を間違えたかなんて、きっとカミサマだって知りやしない。
だけどそうだな、強いて言うなら。
出逢ってしまったことがそもそもの――
過ち
******
フィーリングで書きなぐっただけの。
なんだこれ……。
2011.2.6.