SSS詰め合わせ04 | ナノ





※女体化ネタ含












白い空間で眠る幸村を、ただ静かにじっと見ていた。分かってはいるのだ。幸村が俺を見るのは、俺が“テニス”という枠内にいるからだと。肉刺が薄くなってしまった手の平をお前は冗談交じりに嘆いていたけれど、俺はそれでも、触れたいと思ってしまったんだ。

幸村×仁王『恋してごめんね』





もうやめる、という仁王君の言葉を冷めた気持ちで聞いていた。死んだ表情の仁王君は哀しい笑顔を浮かべていて、ああ、彼は疲れてしまったのだと理解することができた。サヨウナラ。一体どちらが零した言葉だろう。――“お前の隣にいる理由を、探すのはもうやめる”。

柳生×仁王『ずっとさがしてた』





「おはよ比呂士。偶然だね」そう笑った彼女に挨拶を返し、自然に肩を並べて歩く。学校までの五分間の会話はどれも他愛ないものばかり。それでも私達は、出会えばこうして共に登校する。彼女と出会うのが決まってこの場所であることも、彼女の指先が紅く染まっていることにも知らない振りをしたままで。

柳生×丸井♀『偶然』





大体午前二時、メッセージが届く。内容は毎晩同じ、”眠れないんです”。やれやれと小さく溜め息を吐きながら笑ってしまう。仕方がないから少しだけ話に付き合ってやることにしよう。誰よりも優秀なあいつの寝つきが悪いことを知っているのは自分だけなのだから。

柳生×丸井『真夜中の秘密』





目の前を、傘を半分ずつ、反対側の肩を濡らしながら歩く初々しい男女が横切った。おアツイねえなんて茶化すように笑って、隣の人間にふざけて問う。「俺等もあれ、やる?」ご冗談を、と言った言葉は泣いているようだった。結局自分達は、ずぶ濡れになるのがよく似合う。

柳生×仁王『あいあい傘』











******
随分更新が遅れてしまいました。

2015.10.12.

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -