サンプル4 | ナノ





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 病室はいつもあたたかい雰囲気が保たれている。
 それは清潔感から来るものかもしれないし、或いはサイドテーブルに置いた花瓶から感じられるものなのかもしれない。時折あの幼馴染は、俺のために花を持ってくることがある。古風な顔立ちと混じり合わない鮮やかな花束に思わず笑ってしまったものだ。
 一度、今度は真田が自分で選んで持ってきてと我侭を言ったことがある。けれどその次に来た真田は、普段と変わらないセンスの良い花束を持って申し訳なさそうにしていた。なんでも、綺麗だと思った花がキク科の一種だったらしく、店員さんにやんわり止められてしまったそうだ。すっかり顔馴染みになってしまっている真田を想像して笑った。律義に約束を守ろうとしてくれたことが俺は嬉しかった。
 俺の代わりに窓を開けてくれた彼の背中を見る。逆立ちしたって桃色のガーベラが似合わない男は今日も変わらず優しい。
「真田、知ってる? 今日ってね、特別な日なんだよ」
 春の風が手元の文庫本のページをめくった。こういう瞬間がたまらなくいとおしいと思う。
 真田は平坦に、そうか、とだけ言った。普通なら適当だとか無関心のように捉えられなくもない返事。でも俺は知っている。真田が俺の話に耳を傾けてくれなかったことなんて一度もないのだ。そのぶっきらぼうさがおかしかった。
 俺は言葉を続ける。

「今日はね、四月一日。一年に一度の、嘘をついてもいい日なんだよ」











と、いうことで。

2014年のエイプリルフール、楽しんでいただけましたでしょうか!
今までの情報はすべて嘘です。暴れん坊ではこんな本は出ません。
今年も阿呆をして申し訳ありませんでしたああああ!!



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