SSS詰め合わせ02 | ナノ





“たとえば”の話を考えるのは辛い。たとえば俺が可愛らしいオンナノコだったら、たとえばもう少し素直な人間だったら、たとえば、たとえば、たとえば。そうしたら奴は俺を恋愛対象として見てくれたのだろうか。そんな誰も得しない夢を見て、俺は今日も生きている。

柳生×仁王『たとえばの話』





俯いたきりこちらを見やしない男を眺めて苦笑いをした。奴は俺のことを好いている。それは確認せずとも分かることで、妙なところで隠し事のできない奴だと思った。それでも柳生はけっしてそれを口にしない。冷たい現実に歯向かうより、言葉にする勇気を持ってほしい。

柳生×仁王『愛する臆病者』





ごめんなさいと言った比呂士は泣いていた。奴は現実に疲れたのだ。追われることにも逃げることにもくたびれてしまった。見せ掛けだけだった彼女を突き落として指名手配された比呂士は俺の手を握り震えている。あの日の比呂士の瞳が死んでいたことは忘れない。もう、

柳生×丸井『いっそ心中する?』





辺りには照明のひとつもなく、隣を歩く柳生の引くキャリーケースの転がる音だけが響く。俺の持つ小さめのボストンバッグを見た柳生は「それだけですか」と驚いていたが、駆け落ちに余計な荷物はいらない。――明日になったら、俺達はこの町からいなくなる。

柳生×仁王『明日になったら』





朝食を抜く習慣は良くないと何度も繰り返し叱られた。血糖値が下がり過ぎると死ぬんだぞ、と訳のわからない脅し方をされて、だったらその手にあるチョコレートをくれと強請る。奴が食べ物をくれるのは遠回しな愛情表現だと、俺はきちんと知っているのだ。

仁王×丸井『それ、半分ちょうだい』










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いい感じのネタが出たらとりあえずやってみています。

2014.1.31.

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