「なぁランシャス、なんか作者のサイトの訪問者数が一万人超えたんだって」
携帯を見ながらくつろいでいたハーウェンが不意に言うので、ランシャスは「何の話だ」と疑問符を返した。
ハーウェンは、携帯の画面を相方に見せて言う。
「ほらこれ。一万打ありがとうございます、って」
画面には何やら黒い背景のページが表示されており、閲覧者へ向けたものと思しきコメントが書かれている。
ランシャスはその文章を無言で読んで、そして微塵も関心が湧かない様子で視線を外した。
「…ふうん」
「…興味なさそうだな」
「それはまぁ…別に俺たちには関係ない話だろう?」
心底どうでもよさそうな顔で言って、読んでいた本に意識を戻すランシャス。
ハーウェンは携帯を閉じてため息をついた。
確かに関係はないといえばないのだが、一応、重要なことが一つある。
「訪問者が増えると作者のやる気が上がるらしい」
「はぁ。…それで?」
「作者がやる気出すと俺たちの仕事と出番が増える、…かもしれない」
「……」
曖昧に言うハーウェン。ランシャスは眉をひそめて彼を見る。
じ、と見つめてくる深紅の瞳が妙に怖いので、早く何か言えよとハーウェンは思った。
しばしの沈黙の後、ランシャスは疑念に満ちた目で尋ねた。
「…それはつまり、血反吐吐いて死にかける機会が増えるということでは?」
「………」
今度はハーウェンが沈黙を返す。
まぁ、職業柄というか、それ以前に作者の趣味の問題で、比較的痛い目に遭うことが多いのは確かだが。
少々気まずい空気になったところで、彼は絶望感溢れる声で呟いた。
「…キャラとしての存在意義が怪しくなるほど出番がない今よりマシだよ…」
「……お前意外とそういうの気にするんだな」
ランシャスが呆れる傍ら、ハーウェンは「とりあえず祝っておこう」と、死んだような目をしながら携帯を操作する。
◇◇◇
「よしランシャス、記念に一万リヤト賭けて勝負だ! …って言えって作者が…」
「…誰も得しないからやめないか」
「…だよな」
「というか作者早く寝ろ」
――――――
完。(
こいつらあまりに出番がないから何か書いてやるか…と思っただけで特に意味はないです…なんかすみません…
キャラに製作側の話をさせるのとか書いてて面白いのでわりと好きですね。
ちなみにですがとりあえず1リヤト=1円と考えて頂いて問題ないです。
オルノウェイス通貨の単位です。
そしてハーウェンへ。
出番はもうしばらく増えないので安心して下さい((
おやすみ!