意味がわからない


stay night軸
言葉だけですが下品です









「中出しされた」


そう語り嘆く友人に、私は言葉を失った。
あれ、確か今「隣のクラスの◯◯くんがイケメン」とか「△△先輩が素敵」
とか、そんなガールズトークだったはずなのにな。…どこで間違えた?
女子高生である私は友人の言うその行為の意味は十分理解している。そしてそれは女子高生がするにしては先走りすぎる行為だということも。

言葉を失って6秒後。


『何それ許せない!女を何だと思ってんだ!!』


私は怒りを露わにし、友人に詰め寄った。
「も、もういいよ…薬飲んだし…」『良くない!文句言ってやる!何処にいんのそいつ!』「ふ、冬木市の…」『名前は!』「ぎ、ギルガメッシュ」


外人かよ。



私は学校が終わった後、冬木市に向かう電車に飛び乗ったわけだ。
が、着くまでの1時間の間に冷静さを取り戻していた。

勢いとその場の空気というものは本当に恐ろしい。
私はギルガメッシュという男に会って何をするというのだ。文句を言ったとしても、もう済んでしまった行為。どうすることも出来まい。
友人が「もういい」と言ってるし、結果的に何もなってないんだからもう本当にいいんじゃないのか?
ていうか、友人もその時に受け入れたんだからお互い様じゃないのか?
…大体、あの友人とは元々そんなに親しくなかったような…

考えれば考えるほど帰りたくなってきた。
しかしあんなに啖呵をきっておいて手ぶらで帰るなんて恥ずかしすぎる。
「次は冬木市〜 冬木市〜」…着いちゃったよ。

私は電車を降りてから、友人に書いてもらった簡単な地図を頼りに歩いた。
その地図によると男は教会に住んでいるようだ。教会に住んでるってことはそういう職業なんだろう。…結構問題な気がする。
こんな離れた町の教会にいるような男(しかも外人)、どうやって知り合うんだ。
友人の活動範囲に些細な疑問を抱いた時、教会を発見した。
一応『お邪魔しまーす』と声をかけながら扉を開く。


「誰だ。綺礼なら今は留守だぞ」


金髪、ルビー色の瞳。
本来ならば祈りを捧げるその場所に、ふんぞり返って座っているイケメン。


『や、私はギルガメッシュという人に用事が…』

「ふん、雑種ごときが我に何か用か」


やっぱりこいつだよ。雑種って何だ人種差別か。
友人よ、こんなイケメンに流されてしまう気持ちは分かるがもう少し考えて行動して欲しい。


『あの…実は友人があなたに…その「みなまで言うな」

『は?』

「来い」


がし、と腕を掴まれてそのまま奥の部屋に連れて行かれた。
いきなりのことで頭が整理出来ない私は、あれよあれよという間に白いシーツのベッドに倒される。
馬乗りになった男はニヤリと口角を上げた。

ちょ、


『待て待て待て!!』

「何だ、貴様も我の与える快楽に溺れに来たのだろう?」

『ち、違います!私は友人があなたに酷いことをされたって聞いて!!』

「知らん」

『そんなはずありません!つい最近!ここで私と同じ制服の子と…!』

「一々雑種の顔など覚えていない」


こ…この人 本物のクズ野郎だ!


「ああ、しかしこの服は見覚えがあるな。脱がしやすかったぞ」


胸のリボンにかけようとした手を掴んだ。


「往生際が悪い雑種だな」

『…中に出されたって言ってたんですけど』


外人はそういうのに寛大なのだろうか。
ここは日本だ。郷に入れば郷に従え。何て素敵な言葉なんだろう。


「その方が我も貴様もより快楽を求められる」

『いやそういう問題じゃ…』

「生殖機能を心配しているのか?なら安心しろ。我の生殖器に機能は無い」

『…………は?』


機能がない…?
それはどういうことだ?
…つまりこの人は…そういう人で…
だから中に出しても問題ないと…
なるほど、それなら問題…な…いか?


『そ、そういうご病気か何かですか…』

「我は既に何千年も前にこの世から去っている。故に生殖機能は持たん」


この男が言っていることをまとめるとこうだ。
「自分はずっと昔に死んでいて、生殖機能がない。だから中に出しても大丈夫だし避妊しない方が気持ちいいからその方が都合がいい」

…この人頭大丈夫か?


『よ…よく分からないんですけども?』

「諦めろ 女。我は貴様なんぞの理解の到底及ばぬ、超越した存在なのだ」


私の上から退いて、ベッドの端に足を組んで座るキチガイ男。
私も素早くベッドから下りた。


「興が冷めた」

『それは良かった』

「…変わった奴め。皆この我を求めて縋るのだぞ」

『…はあ…』

「まあ良い」


何処から出してきたのか、赤ワインをグラスに入れる。


「いつまでいるつもりだ?もう貴様に用はない。帰れ」


言われなくても帰ります。
何でこの人こんなに偉そうなんだ。ていうか友人はよくこんな奴を相手にできたな。
所詮顔か。顔なのか友人。


「…女、」

『え、あ…はい』

「次来た時は抱いてやってもいい。我は寛容だからな」

『…………』


二度と来ねーよ。





『と、いうわけなんだけどね』「何しに行ったのあんた」



何しに行ったんだ、私。