委員長と愉快な仲間達 | ナノ
1
俺がランドセルを手放して、二年目の秋。
長い夏休み経て、始業式。
本当は始業式なんてサボってやろうと思っていたが、新羅が家に迎えに来たので仕方なく出てきたのだ。
来る途中、「君が一緒のクラスじゃないなんて平々凡々でつまらないよ」なんて新羅が言っていたのを思い出す。
『山田頼子です。どうぞよろしく』
平々凡々な日々?
そんなもの、あるわけないじゃないか。
委員長と折原くん
彼女と俺の出会いはさっきも言ったが中学二年の二学期。
始業式を終えた俺は窓側の一番後ろの席に座り、久し振りに見るクラスの面々を眺めていた。
少し経って教室に帰ってきた担任が出席簿を教卓の上へ置き、言った。
「えー、いきなりだが転入生を紹介する」
“転入生”その言葉にクラスがざわついた。
男か女か、カッコいいか可愛いか。様々な形容が飛び交う。
「なぁ、折原はどんな奴だと思う?」
たいして仲も良くない前の席の男子が話しかけてくる。
正直言って今更クラスにどんな奴が来ようが興味は無かったが、人付き合い(のフリ)は得意な方だ。
「さあ?…でも面白い奴なら大歓迎」
口角を上げて笑うと、「お前やっぱり変わってるなあ」と言われた。
変わってる?君たちがツマラナイだけだろう?
「おい、静かにしろー。…入れ、山田」
『はい』
ガラガラと戸を開けて教室に入ってきたのは、
『山田頼子です。どうぞよろしく』
第一印象は絵に描いたような優等生。
二つに結んだ焦げ茶色の髪は礼をした時にサラサラと肩から滑り落ちた。
眼鏡を掛けてはいるものの、十分美人に入る類いだ。
「じゃあ山田は……折原」
「…?」
「あいつの隣の席に座ってくれ」
俺の隣は一学期の頃に登校拒否して転校していった奴の席だった。
もう名前は思い出せないし、顔もぼんやりとしか覚えていない。
『よろしく、折原くん』
女子特有のソプラノの声が俺の耳をくすぐった。
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