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「アラジン、大丈夫か?」

「シンドバッドおじさん!」



屋上に出た後、そこには既にアラジン達もいた。そしてカシムも。
…良かった、アラジン達は無事だったみたい。
マスルールくんが私を下ろす。



「リホおねえさん!」

『アラジン、モルちゃん、怪我はない?』

「はい、私たちは大丈夫です」



ほ、と安心…もしてられない。
周りにはさっきよりも沢山霧の団がいた。
しかも敵意むき出しじゃんよ…



「さすがに数が多いな……マスルール!」

「了解」



シンドバッドさんがマスルールくんを呼ぶ。
スウッとマスルールくんが構えた。

瞬間、



ズバアッ



『!?』



瞬きをする暇も無かった。
暴風が襲ってきたと思えば、さっきまで睨みを利かせていた霧の団の人達が飛んでいったのが見えた。
そしていつのまにかマスルールくんはカシムの後ろに立っている。

…今、何が起きたの?



「やりすぎだぞマスルール。手加減しなさい」



いやシンドバッドさん、そういうレベルじゃないよコレ。



「な…なんだ てめえは…」

「何って…俺を探しに来たんだろ?」


カシムがシンドバッドさんに向けて黒い剣を構える。剣の周りには黒い霧が渦巻いていた。
あの霧は…昨日モルちゃん達が捕まったやつだ。



「そうか、お前がシンドバッドか。先に手を出してきたのはそっちじゃねぇか!!」



黒い霧がカシムの元を離れて、シンドバッドさんに巻き付いた。シンドバッドさんはしゃがみ込んで、霧を見る。
やっぱり重いんだ あれ…



「なんだこれは?」

「それが昨晩の"黒い霧"ですよ!」

「ああ、例のお前が捕まったっていう」



ジャーファルさんにシンドバッドさんが思い出したように言った。
……そういえば、私が触ったら消えてったんだよね。あれは一体なんだったんだろ。



「動くんじゃねぇ…てめえらの大将の命がねぇぞ!」



カシムが脅す。
けれどジャーファルさんとマスルールくんは無反応だった。



『だ、大丈夫なんですか?』

「まあ見ていてください」



ジャーファルさんがそう言うなら見ているしかない。
私は黙ってシンドバッドさんに目を向けた。



「ちょっと待てカシム、さっきから何を言ってんだ!?」



訳が分からないようで、アリババくんがカシムに問う。
カシムは怒鳴って言った。



「情報が入ったんだよ!!
シンドリア王"シンドバッド"が…俺たち"霧の団"を狙ってるってな!!」



情報…
もしかしてジャーファルさんが言ってた国側のスパイ?



「ほぉ、そのことを誰から聞いた?」

「ハッ、黙って捕まってろ!」

「捕まってるって…これにか?」



シンドバッドさんは溜め息をついた時。
両手に光が集まるのが見えた。白いルフが、シンドバッドさんに集まって行く。

シュウウウ

黒い霧が、その光に溶かされていった。



「そんなバカな!!」



驚いているのはカシムだけじゃない。私もだ。
あれは私がモルちゃんが捕まった時に…



「リホさんと同じ…」



モルちゃんも思い出したらしい。
二人で顔を見合わせる。



「この程度の魔法道具は俺には効かないよ。…さて、もう手はないのか?」

「くそっ!!」

「これでアブマド王との約束が果たせる。な?なんとかなっただろ?ジャーファル」

「ええ、そうですね」

「さあ、お前を捕まえて国軍につき出せば俺の仕事は終わりだ」

「「!!」」

「ね?怪傑アリババくん」



私はアラジンを見た。
アラジンは何も言わず、その目は真っ直ぐシンドバッドさん達を見つめていた。

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