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『モルちゃん大丈夫!?』

「だめ…リホさんは早く逃げて…!」

『断る!』

「?…お前、昼間の…」



どうやらカシムも私に気付いたらしい。
…それよりこの霧をどうにかしないと…!
咄嗟に、モルちゃんを包む霧を掴もうとした。
ぱあっ、と私の金に輝くルフが、手元に集まる。



シュウゥゥ



『!?』



手に触れた黒い霧が消えていった。
いや、この場合"消える"というよりは"飛んでいく"だ。
黒い霧は確かに、"ルフ"となって何処かへ飛んで行った。



『なに…?』



驚いて、両手を見た。

今、何が起こったの?



「俺の霧が…くそっ!」

「魔力(マゴイ)操作…!?」



ジャーファルさんが何か言っていたが、そんなこと気にしている場合じゃなかった。
屋敷から出てきた霧の団がわらわわらと出てくる。



「ウーゴくん!」



後ろの方で、アラジンの声がした。
振り返ると、ウーゴくんとアラジンが霧の団をせき止めていた。
霧の団はウーゴくんを見るのはもちろん初めてで、かなり驚いている。
ウーゴくんナイス!



「…あれ?」



アラジンが、カシムの隣にいる人を見て首を傾げた。私も見覚えのある姿だ。
…間違いない。昼間私を助けてくれた…
彼は頭に巻かれた布に手をかける。

バサッ

中からは綺麗な金髪の少年が姿を現した。



「アリババくん…?」



アラジンは確かにそう呟いた。
…やっぱり、昼間 私を助けてくれたのはアラジンの言う"アリババくん"だったんだ。



「お前の知り合いなのか!?アリババ」

「ああ」



カシムの問いに、アリババくんは頷く。
ウーゴくんの上に乗るアラジンを見た。



「アラジン久しぶりだな、ウーゴくんをしまってくれないか。俺の仲間がビビってる」

「だめだ!盗賊たちの言うことを聞くな!」



ジャーファルさんの声は、アラジンには聞こえていなかった。
笛を咥えてウーゴくんをしまうアラジン。



「あのね、アリババくん。僕、アリババくんに会いに来たんだよ!話したいことがあるんだよ!」



目を輝かせて、アリババくんに近付く。
けれどアリババくんは、無表情でアラジンを見下ろしていた。



「あの時のことを覚えているだろう?約束したもんね!」

『アラジン…』



どうしよう、すごく嫌な予感が、



「アラジン…ごめん…」



アリババくんはアラジンな肩に触れて、すれ違い様に言った。



「約束は、守れなくなったんだ」

「盗賊だ!!いたぞ かかれ!!」

「国軍の援軍が来たぞ!」



ワーワー!

武器を持った人達が走ってくる。
キン!と金属と金属が擦れる音があちこちで聞こえた。



『アラジン!』



人の波に逆らってアラジンの元へいく。
やばい、このままじゃ巻き込まれる!



「厳格と礼節の精霊よ、汝と汝の眷属に命ず」



アリババくんが、短剣を取り出して何か唱えた。
白いルフが、彼の周りに渦巻いている。



「我が魔力(マゴイ)を糧として、我が意志に大いなる力を与えよ」



私のルフも慌ただしく飛び回る。
この感じ…初めてあの短剣を見た時と同じだ。



「リホおねえさん?」



ぼーっとしていたアラジンが私に気付いた。
私はアラジンの肩を抱いて、なるべくアリババくんから離れる。



『アラジン、早く逃げ、』



出でよ アモン!



カッ



言い様、ものすごい光が辺りを包み、火の手があがった。
炎はアリババくんに操られるがまま、国軍に向かって放たれた。



『…っつ!』



ゴオッと音を立てて渦巻く炎。
それに逃げ惑う人々。



私は何も出来ず、ただアラジンを抱く力を強めた。




(こんなの、止められるわけがない)


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