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「"霧の団"を捕まえる!?」

「そう。この国を今 騒がせている盗賊"霧の団"を、俺たちで捕まえるんだ」



何を言い出すのかと思えば…盗賊を捕まえるって!
正直すごく関わりたくない。危ないことはしたくないし、アラジン達を危ない目にも合わせたくない。



「ちょっと待ってください シン!」



ジャーファルさんがシンドバッドさんを止めにかかる。
見た目通り、ジャーファルさんは冷静な人だ。



「何言ってるんですか!?こんな小さい子供にそんなことさせていいワケがないでしょう!?」



そうだそうだ!



「年端のいかない子供に、危険なことをさせるワケにはいきません!」

「年齢は関係ないだろう?一番肝心なのは、盗賊に相対する力があるかないかだ」



くっ!た、確かにシンドバッドさんにも一理ある。
シンドバッドが初めて"迷宮"を攻略したのは14の時だと言う。
14って…中二!?よりによって中二!?



「盗賊退治だって…どうしよっか?」

『やめた方がいいんじゃない?危ないことはあまり「やりましょう」

『そう やりましょう……ってやるの!?』



思わずモルちゃんに詰め寄る。
びっくりした!のりそうになったよ今!



「やるんだ?」

「はい、なぜなら…"暗黒大陸"行きの船を止めている原因が、件(くだん)の"霧の団"だからです。"霧の団"を倒せば船も出港するはずです」



暗黒大陸行きの船が止まってる?霧の団のせいで?
それは大変だ。じゃあ霧の団がいるかぎり、モルちゃんは故郷に帰れないのか。



「さらに先程の話では、この方はバルバッド国王と親交があります。
問題を解決すれば、アリババさんを捜すのに、国の力を借りられるかもしれません」



モルちゃんの言葉に、シンドバッドさんは「ほおー」と感心した。
わたしも ほおー!だ。モルちゃん頭イイ!!私 何だか自分が情けないわ。
しっかりしてるよ やっぱり。私の倍はしっかりしてる。



「人探しをしているんです、王様に頼んでくれますよね」

「もちろんだ、バルバッド国王にかけあった上で国中を探そう。さらに"暗黒大陸"行きの船も責任を持って手配するよ。
…リホ、もちろん君の働き口もバルバッド国王に話してみよう。それでどうだい?」



アリババくんを探せる。暗黒大陸に行ける。仕事が見つかる。
…これだけ好条件が揃っていれば、答えは一つ。



「うんっ!!やるよ、"盗賊退治"!!」




















「では国軍や、市民から集めた盗賊団の活動傾向をお伝えします」



部屋に戻って、早速 盗賊退治の作戦を練る。
ジャーファルさんが巻物を開いて、説明してくれた。
シンドバッドさんは私やモルちゃんは危ないから戦わなくていいと言ってくれたけど、モルちゃんが納得するわけなかった。
彼女は普通の大人より何倍も力が強い。
私は私で、アラジンやモルちゃんが危ない目にあってる時に部屋でジッとしていられるわけがなく。
足を引っ張ることだけはしない。そして危なくなったらすぐ逃げる。という約束をして作戦会議に参加した。



「彼らは毎回警備の裏をかき、国軍の手が薄い所を狙います。内部からの情報がもれている可能性が高いです」



つまり、国側にスパイがいるってわけね。
なるほどなるほど…



「さらに厄介なことに市民の多くが彼らに協力的です。街に逃げ込まれたら見つけられません」

「"盗賊"なのに、街の人が協力するの?」

「はい。彼らは奪った金品を貧しい市民に分け与えるので、"義賊"と呼ばれて人気があります。中でも人気なのは…」



"怪傑アリババ"と呼ばれるリーダー格の男だそうです。

その言葉に、アラジンは少し不安気な表情になる。
…盗んだ物を貧しい人に、か…



『まるで鼠男ですね』

「「「「ネズミオトコ??」」」」

『あ!いや、何でもないです!』



その場にいた男全員が声を揃えた。
またやっちゃったよ!



「あの…国民が支持している人を…捕まえてしまうことは正しいのでしょうか…?」



私も昼前に助けられたことを思い出した。
彼が助けてくれなかったら今頃どうなっていたか…想像するのも嫌だ。
そんな"怪傑アリババ"を、私達は捕まえようとしてる。話せば分かる人だと思うけど…



「…俺は正しいと思っている」



微かに迷ったことが見破られたらしい。
シンドバッドさんが私とモルちゃんを見て自分の考えを語った。



「…まあ、そんな具合に俺は自分で、自分の頭で考えて、正しいと思える答えをだした。君たちも考えて自分で決めてくれ。
何がいいのか精一杯考えて考え抜いて、自分たちの導き出した答えを信じて行動して欲しい」



シンドバッドさんがソファから立ち上がる。



「道はそうやってみちを切り開いてきたが…君たちはどうだろうか?」

「僕も考えてみるよ」

「…私も」

『…私も』





















バルバッド国、豪商の屋敷。
日は沈み、星と月明かりが辺りを照らしていた。



「国軍の手が回らぬ所で"霧の団"が目を付けそうなのはここともう一か所だけです」


ジャーファルさん、アラジン、モルちゃん、そして私は霧の団が狙いそうな屋敷を張り込んでいた。
見張りの人が何人かいるけど、確かに手薄だ。



「もう一か所はどうする?」

「シンと"ファナリス"のマスルールが警備兵と称して張り込んでいます」

「そっか…シンドバッドおじさんは大丈夫なのかい?なんの力も使えないって…"霧の団"は不思議な力を使うんでしょう?」

『もしあっちが狙われたら一溜まりもないんじゃ…?』

「大丈夫ですよ。腐っても"七海の覇王"シンドバッドは不思議な力には慣れていますから」



ジャーファルさんは笑って言った。
…まあ人の心配してる場合じゃないよね。
この中で一番戦闘能力無いの私だし。
危なくなったら逃げる危なくなったら逃げる危なくなったら逃げる!!

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