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「リホおねえさん!」



アリババに助けられてから、一回ホテルに戻って腹ごしらえをすることにした。
食堂に行くと、既にアラジンとモルちゃん、シンさん達が椅子に座っていた。



「どこに行っていたんですか?」

「起きたらいないから心配したよ」

『ごめんごめん、爆睡してたからさー。でもちゃんと書置きしたでしょ?』



出る前に慣れない羽根ペンで確かに書いたはずだ。
分かりやすくテーブルの上に置いたのに。



「もしかして、テーブルの上にあった紙ですか?」

『あ!うん、それそれ!』



頷く私。
モルちゃんとアラジンは顔を見合わせた。



「おねえさんの字、全然読めなかったよ」

「すいません。私もです」



………あ!!



『あー、置いたと思ってたけど勘違いだったかな?…うん、置いてなかったかも!…モルちゃんが言ってるの、それただの私のラクガキ!』



私は馬鹿だ!私にこっちの世界の文字が読めないんだから私の文字がアラジン達に通じるはずないじゃん!
アハハハ、と笑う私を二人は不思議そうに見ていた。
お願い!誤魔化されてくれ!



「三人共!料理が来たぞ!」

「うわあああ!」



シンさんナイス話題そらし!

シンさんに呼ばれて、テーブルを見ると見たことのない料理がズラリと並んでいた。
中でも丸々どーん!と焼かれている魚からすごくいい匂いがする。



「バルバット名物 エウメラ鯛のバター焼きだ!」

『エウメラ鯛?』

「エウメラ鯛はバルバット近海にしかいない珍魚でね、鯛のくせに骨まで柔らかく、香草と併せて丸ごと食べると絶品だ!」

『へえ!…いただきます!』



早く食べないとアラジン達に取られてしまう。
久しぶりに果実以外のもの食べるかも!
シンさん曰く絶品のエウメラ鯛を口に含む。



『〜っ!美味しい!美味しいね モルちゃん!』

「はい、とても…!」

「あはは、それは良かった。旅した土地で初めてのうまい料理に出会う…いいねえ、冒険の醍醐味だね!」



わ〜、もう至れり尽くせりじゃん!
この料理でさっき襲われかけたのはチャラにしてもいいね!



「ところでリホ、さっき部屋に呼びに行ったらいなかったようだが、何処に行っていたんだい?」



シンさんに尋ねられて、ぐっ と魚が詰まりそうになった。
…まあ、隠すようなことじゃないしね…



『仕事を探してて…』

「仕事?」

『はい。…実は私、一文無しなんですよ』



後半はアラジンとモルちゃんに聞こえないように小声で言った。
ああ情けない!



『でもどこも人を雇う余裕がないみたいで』

「…そうか…」

『…?』



顔色を変えたシンさんに、首を傾げる。
しかしそれは一瞬で、すぐにいつもの笑顔に戻った。



「そういえば、部下の紹介がまただな」



シンさんの横に立っていたのは、昨日会った銀髪さんと赤髪さん。
そうだ、名前…
いつまでも髪の色だと失礼だもんね。



「部下のジャーファルとマスルールだ」



銀髪さんがジャーファルさんで、赤髪さんがマスルール…くん?年下っぽいけどいくつなんだろ。
ていうかやっぱりマスルールくんって…



「モルジアナ!」

「?」

「マスルールはな、"ファナリス"なのだよ」

「!」



やっぱりそうなんだ…!
ファナリスは戦闘に向いている少数民族だとモルちゃんから聞いた。
似てると思ってたんだよ!



「驚いたか?実は昨日、君もそうだと気づいていたよ。目元がそっくりだな、お前たちは」



シンさんが笑ながら二人を見比べる。
確かに見れば見る程 そっくり。



「…どうも」

「…どうも」



口下手なところも似てるみたいだ。



『良かったね、モルちゃん』

「……はい、」

「僕はね、アラジンだよ!」

『あ!こら アラジン!』



いつの間にかマスルールくんに引っ付いていたアラジンを引き離す。



『ご飯食べながら歩いちゃダメでしょー』

「こっちはね、リホおねえさん!ここに来る途中で出会ったんだよ!」

『聞いてないし…』

「…親子みたいっスね」

『「え!?」』



ぼそりとマスルールくんが呟いた。
え…私ってこんな大きい子いるように見えるの?!マジで!?
すごくショックなんだけど!!



「あ、そうだ!ウーゴくんも出してあげよう!」

『アラジン!?こんな所で出したら…!』

「えいっ」



アラジンが笛を加えるとにょきっと両手が出てきた。



「オワーー!?」



…だから言ったのに…!!

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