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『さっぱりした〜。アラジーン、ただい、』



ま。と部屋のドアを開けた。
瞬間、思考がフリーズした。



『ぎょわぁあああああ!!!』



漫画みたいな叫び声を上げてしまった。
アラジンしかいないと思ってたベッドの上には、何だか筋肉マッチョな身体が存在していた。

何なにナニ!?なんかすごいデカい人が!!ていうか人なのかこれ!!頭無いけど!!



「お久しぶりです」



モルちゃん!あんたそんな普通に…!



「あ、そっか。リホおねえさんは初めてだったね。驚かしてごめんよ」

『う…うん…』

「彼はウーゴくん。僕の友達さ」



ウーゴくん…
あ、そういえば 前にアラジンがしていた話に出てきたような。
いつも助けてくれるすごく頼りになる友達だって。
これは…うん、頼りになるよ。存在感と威圧感がハンパない。



「ウーゴくん、リホおねえさんだよ」



アラジンがそういうと、ウーゴくんはゆっくりと身体を動かす。
まじまじ見ると本当にすごい。頭の部分にはアラジンがいつも首にかけてる笛が刺さっていた。
…いや、刺さってるっていうか、部分から身体が出てる感じだ。



『よ、よろしくね』



ウーゴくんに触れようとすると、アラジンにストップをかけられた。
何でも、ウーゴくんは恥ずかしがり屋で女の人に触れられると固まってしまうんだとか。
…何それ、可愛い。



「…………」

『…?』



まだ触っていないのに、ウーゴくんは私に身体を向けたまま動かない。
み、見られてる?目が無いから分からないけどすごく見られてる気が…



「ウーゴくん?」



アラジンも不思議に思ったらしく、彼の名前を呼んだ。
ウーゴくんはその声を合図にベッドから降りて私の前に跪く。跪くっていっても、デカいから私は自然と見上げるかたちになる。
大きい手が私に差し出された。

…ん?差し出された?



『え?触っていいの?』



頭の笛が少し傾いた。
頷いたって判断でいいのかな。
恐る恐る、ウーゴくんの掌に自分の手をおいた。



ぶわっ



『…っ!?』



室内だというのに、強い風が起こった。
私の周りに飛ぶ金色のフルが、一気に量を増してウーゴくんと私を包む。
眩しくて咄嗟に目を細めた。



「来てくれてありがとう」
「来てくれてありがとう」




『…えっ?』



確かに聞こえた声。
でも次の瞬間には何事も無かったように元通りになっていた。



「すごいや!ウーゴくんから触った女の人はリホおねえさんが初めてだよ!」

『アラジン…今、声が聞こえなかった?』

「?…モルさん、聞こえた?」

「いえ、私には全く…」



二人には聞こえてない?
でも絶対聞こえた。いや 聞こえたっていうより、直接 脳に響くみたいな…



『…………』



しばらくウーゴくんを眺めながら考えたが、とうとう思い出すことはできなかった。

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