『二日連続で徹夜はきつい…明日倒れますよコレ』

「安心して下さい」

『え?』

「明日は大王に有給を頂きました」

『いやったァァアアア!!!』





とある女のあの世生活 質





ぺしぺし



『んー…』



ぺしぺし



『………』

「全然起きないよ 鬼灯様〜」

「起こし方が甘いですね。こういう時は…こうです!」



ずべしっ



『ぐふぉっ!?…っ…何!?痛っ!なんか痛っ!』

「あ、起きた〜」

「すげぇ起こし方だな…」


背中に激痛を感じて飛び起きると鬼灯さんと桃太郎トリオがいた。
…いや、何でいんの?ここ私の部屋だよね?



「おはよ〜」

『いやシロちゃん、おはよ〜じゃなくて。何でいるの?』

「鬼灯様が開けてくれた」

『は?鍵なら閉めたはず…』

「呼んでも返事が無いので合鍵で入りました」

『私のプライバシーは皆無か』



勘弁してくれ。
私はベッドにもう一度寝転んで、布団を被った。



『何の用か知りませんけど勘弁してくださいよ〜。二日続きの徹夜明けで疲れがピークなんです』

「それは私も同じです」

『なら休ませてください おやすみなさい』

「上司の私がこうして起きているのに貴女が寝ているのが苛立たしいんです。起きなさい」

『いーやーだぁぁあああ!!』



しばらく布団の引っ張り合いをしていたが、力で敵うはずもなく。
私はそのままベッドからずり落ちた。



「母と子の攻防戦…」



柿助、そんな生易しいもんじゃなかったよ今。
ていうかお尻痛い…



『有給って言ったの鬼灯さんじゃないですか!横暴すぎる!』

「何とでも。それより早く着替えてください。見苦しい」

「里穂ちゃん遊ぼうよ〜」

『く…っ!』



シロちゃんが前脚を膝に乗せる。パサパサとルリオも肩の上に乗った。柿助も私を見上げる。
愛くるしい動物を一緒に連れて来るとはなんと卑怯な!
私は寝癖の頭をかきながら溜息。



『分かりましたよ…着替えるんで出てってください』

「えー!人の身支度って見たい!鬼灯様のも見たよ」

『……シロちゃんって性別どっち?』

「オス」

『出てけ』

「わん」



いくら動物でもそれは許しません。
とりあえず鬼灯さん達には退出してもらって、いつもの甚平に腕を通した。
適当に身支度して、部屋を出る。



『お待たせ〜』

「早いですね」

『そうですか?』



まあ化粧とかしないタチだし同年代の女子に比べたら早い方かもしれない。
そんな私を見てルリオが「さっきとあんまり変わらねぇな」と言った。
…それはそれで失礼だな。
ていうか身支度したのに寝起きとあまり変わらない女子ってどうなの?
むしろ女子としてどうなの?



『それで、何するんですか?』

「……そうですね…」



鬼灯さんは顎に手を当て、考える。
もしかして何も考えてなかったの!?本当に私が寝てたのが腹立っただけ!?



「そうだ、掃除をしましょう」

「「「『掃除?』」」」



私と三匹は声を揃えて復唱する。



「はい。実は私の部屋は長い間掃除していませんので』

「そういや、鬼灯様の部屋も物が溢れかえってたなあ」

「殆ど貰い物ですけどね」

『え〜!有給返上で鬼灯さんの部屋の掃除ですか〜?なんか割に合わな……嘘嘘嘘!里穂お掃除大好き!!』



今にも「撲殺したろか!」という目で睨まれ、発言を撤回した。
怖っ!!ていうかマジで手伝う義理ないんですけど!
言ったら怒られるから言わないけどさ!



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