拝啓、天国のお父さん お母さん
お元気ですか?
私は相変わらず学校、補習、バイトの
毎日です。
え、バイトはわかるけど補習って何だって?……そこはご愛嬌ということで。
でも仕方ないよね。
二人が亡くなってからというもの、生活費を稼ぐためにバイトを掛け持ちして、家に帰るのは夜中になるんだから。
まぁ率直に言わせてもらうと、
愛娘残して死んでんじゃねーよこの野郎。
ってことなんだけど。
あ、そうだ。最近新しいバイト見つけたんだ。しかも超時給いいやつ。
…比例して精神的苦痛も半端ないんだけどね。
お金のためならそんなもん屁でもないわ…!
あ、安心してよ。
キャバクラとかそういうのでは断じて
ないからね。
先輩も結構優しそうなんだ。自称二十歳。
…うん、軽く見積もっても三十路手前だな
アレは。
だってさ、ベストのことチョッキっていう二十歳初めて見た 私。
………話がそれた。
で、そのバイトがある場所はなんと池袋。
すごくね?超都会じゃね?
今住んでるアパートは池袋から離れた(といってもそんな遠くはない)所にあるから、
学校から家まで帰るにはちょっと遠回りになるけど、まぁ 通えないわけじゃない。
でね、今日がバイト初日だったわけよ。
バイトも終わって、さぁ帰って寝ようと思った里穂!しかし目の前には絶賛大安売り中のスーパー!
私の中の主婦の血が騒いだ。
目玉商品だったキャベツ、卵、マヨネーズ(業務用)をお買上げです。
主婦歴二年ちょっとだけど、その辺のオバチャンには負けないよ。
戦場だったあれは。
バイト、そしてスーパーという名の戦場で戦った私は身も心もボロボロでした。
そう、ボロボロで池袋を歩いていました。
そして今、
何故かそんな私の前に不良のお兄さん達がいます。
お父さん、お母さん、もしそこに神様がいたら聞いてください。
私、何かしましたか?
あと、これだけは伝えてください。
絶対ぶん殴ってやるから
後で覚えとけよ 神様。
あなた達の最愛の娘、里穂より。