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それから、セルティさんに一度制服を取りに店に寄ってもらってから帰宅した。
少しでも部屋に上がってもらおうと思って声をかけたが、断られてしまった。

嫌だなー。シズさん絶対怒ってるもん。
セルティさん(ストッパー)が居なかったらどうなるか…
不安と恐怖にかられながら恐る恐るドアを開ける。



『た、ただい……うわっ!』

「…………」



ドアを開けた瞬間、目の前にシズさんが立っていた。

びっくりした…!



『し、シズさん…』

「…………」

『あ、あの…遅くなってごめんなさい…』



足元。
そこから目を上へあげることが出来ない。
何より、不安だった。
いつもなら私が帰って来た途端 怒鳴って怒るのに、今日はそれがない。
…もしかしたら、呆れられたのだろうか。



「……悪ぃ」

『…は?』



思いもよらない言葉に顔を上げる。
そこには怒りなんて無縁のシズさんの顔があった。



「ストーカー野郎に襲われたんだってな。セルティに聞いた」

『え、あ…はい。でも何でシズさんが謝るんですか?』

「何でってお前…俺がしっかり監視してなかったからだろ」

『いやいやいや!私も油断してたっていうか…とりあえず助かったんだしいいじゃないですか!』

「…………」

『まぁ襲われた時は美人薄命ってこの事か!と思いましたけどね!アハハハ!』

「…………」



なぜ黙る。
ここは「自分で美人とか言ってんじゃねーよ」とかツッコミ入れるとこでしょうが!



「怪我、してねぇか」

『え?あぁ、そんなの全然…』

「…!…お前 首、」



ハッ、として首を隠すも、もうすでに遅かった。
怒りがMAXに達したらしいシズさんは何も言わず外へ出て行こうとする。
私はその腕を力強く掴んだ。



「放せ。セルティからは大人しくしろって言われたがもう我慢出来ねぇ。殺す。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…」

『待ってください!こんなの怪我のうちに入りませんって!』

「じゃあやられっぱなしでいろってか?冗談じゃねぇ。一回殺さねぇと気が済まねぇんだよ」

『私の気はもう済んでますから!お願いだから何処にも行かないでください!』



ぴたり。
シズさんの動きが止まった。
そして驚いたように私を見下ろす。

え、何?何か言いました?


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