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『ゆまっちさんとお姉様、お帰りなさいませ!』

「久しぶりっす」

「やっほ〜、元気だった?」



テーブルへ向かうと、水を置くスペースが無いくらい本が大量に乗っていた。
うーん、やっぱりすごい。相変わらずだな、この二人。



『アニメ○トに行った帰りですか?』

「ううん、暇だから何か起きないかなーっと思って」

『え、何かって?』

「急に上から撲殺天使が堕ちてきたりとか?」

「もしくは緑髪のメイドが出迎えてくれたりとか?」

『…?』



首を傾げると二人はニンマリと笑った。
撲殺天使?緑髪のメイド?
メイドはあるとして…撲殺天使って何だ?



「最近何にも起きないから暇なんだよねー」

「なんかこうパーッとした事件でも起きてくれないっすかねぇ」

『縁起でもないこと言わないでくださいよ。もう十分です』

「え!何々?何かあったの!?」



あ、しまった。

後悔してももう遅い。
狩沢さんはキラキラした目で私を見ていた。



『……あまり大声では言えないんですけど…』









♂♀









「「ストーカー?」」

『しーっ!声大きいですって!』



一部始終を話すと、狩沢さんとゆまっちは顔を合わせてついでに声も合わせた。
同居してるのがシズさんなのはもちろん言わず、親戚ということにした。



「奇怪文かぁ、確かにそれは事件だね」

「リホっちは心当たりとかないんすか?」

『さぁ…あるとしたらこの店のお客さんくらいしか…』

「しかもリホっちの常連客か…」

「俺じゃないっすよ!」



ジーッと自分を眺める狩沢さんにゆまっちさんは慌てて首を振った。

私は疑ってないけど。ゆまっちさんには狩沢さんがついてるし。
てかゆまっちさんは三次元より二次元の方に興味あるもんな。



「冗談冗談。…でも怖いよね。逆上してくるか分からないよ」

『まぁ 私だけなら構わないんですけど…』

「リホっち的には一緒に住んでる親戚の方が心配なわけっすね」

『いや正直そんな心配してないですね』



私が心配なのはストーカーの命だ。
シズさんに襲いかかって無事なわけがない。
アバラの二、三本は覚悟しておいた方がいい。これマジで。



『聞いてくれてありがとうございました。なんかちょっとスッキリ』



シズさんに言っても全く相手にしてくれなかったからなー。
あの人に悩み相談はもう一生しない。解決どころか余計ややこしくなりそうだ。



「本当に大丈夫なんすか?」

「何かあれば言ってね。力になるからさ」

『ありがとうございます。ま、何とかなりますよ!』

「「…………」」


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