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幽くんが指差したその先にある家は、間違いなく''平和島''という表札がかけられていた。

平和島、ヘイワジマ、へいわじま、heiwajima――…



『……ここ?』



一応 幽くんに確認。
しかし彼は迷うことなく頷いた。



『ほんとにこの家?お隣さんとかでなく?』

「じぶんの家 まちがえるわけないだろ?」

『いや分かんないよ。もしかしたら幽くん視力が弱いのかも』

「視力けんさ、どっちもAだった」

『……一応お隣さんも見てみよ「しつこいんだよ!」



頭にげんこつを食らってしまった。

痛っ!今のはちょっと痛かった!
…でも痛いってことは夢じゃないんだよね。
シズオ少年(自称)を背中から下ろす。
改めて見るとやっぱり似てるな…



『つかぬことをお聞きしますが、あなたの名前は平和島静雄ですか?』

「だからそうだって」

『う、嘘つくなァ!おまっ、金パどうしたグラサンどうしたァァ!』

「急にになんなんだよ おまえ!」



冗談やめてよ!顔が似てる上に同姓同名なんてさ!!



『因みにプリンは好きですか!?』

「…まぁ…」

『…牛乳も頻繁に摂取してたり?』

「………なんでしってんだよ」



まっ、

間違いねェよコレ!
シズさんだ!正真正銘シズさんだ!ちっこいシズさんだ!!
嘘ォォォ!?何でェェェ!!
本物か!あのグラサン金髪のシズさんか!
てゆーことは……何?



『……タイムスリップ?』



夢なら覚めろォォ!!タイムスリップ!?何ソレ!?
もう意味わかんねーよ!



「そういうお前はだれなわけ?」

『え、その…』



説明できねェよ!!
誰か私に説明してくださいこの状況!



「おい、どうしたんだよ」



目が泳いでる私を二人の少年が怪しげに見つめる。
よく見たら、この幽くんも何処かで見たことあるような…
いや、それは気のせいかな。シズさんの弟とか聞いたことないし。



『あー…、えっと…ちょっと用事思い出して…私行かなきゃ』

「ふーん…じゃあな」

『じゃあね。………静雄少年、幽くん』



と言っても行く所なんてないんだけど。
(少なくともこの時代には)



「…………」

『…!』



その場を去ろうと右向け右をすると、無表情の幽くんが私の服を掴んだ。



「…ありがとう」



やっぱり、
上がチャランポランだと下がしっかりするわ。


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