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――――――…



『………あれ?』



しばらくして目が覚めたのはソファーの上、じゃなくて硬いコンクリートの上だった。
ゆっくり体を起こして周りを見渡すと、そこは見知らぬ住宅地。

外?しかもなんか暑い!
セミまで鳴いてるし!
何で!?何で外!?私 部屋で寝てたじゃん?



『ここはどこ!?私は誰!?』



一度は言ってみたいセリフ。
………くだらないことやってる場合じゃない。
何なんだ?私に何が起きたんだ。
夢遊病…だとしてもこれは度が過ぎてる。
とにかくもう夕方だし、早く帰らなきゃ。シズさんが心配する。

私は人に道を聞くため、大通りを探し歩き出した。










♂♀










『……どこだここ』



歩き出したはいいものの、いっこうに大通りに出ない。というか、人気がない。

はぁ…とため息をついた、その時、



「――――…!」

「――、―――!」



何を言っているかは分からないが人の声がした。
どうやらすぐそこの公園かららしい。

よっしゃァ!この際 オッサンでもヤンキーでもガキンチョでもいい!
人間なら誰でもいいから道教えてください!
そんな気持ちで公園を覗く。



「てめぇ、この前はよくもやってくれたなァ」

「クソガキが、調子に乗ってんじゃねーぞ」

『…………』



これ アレかな?喧嘩?
大の男が二人と、小学生くらいの少年が一人。
オイオイ、これはちょっとフェアじゃないんじゃないの?



「俺ァ ガキだからって容赦しねーぞ」

「よわいくせにミエはってんじゃねーよ」

「何!?」



おお、結構やるじゃん 少年。
でもあんまり煽るとアレよ?大変なことに、



「んだとテメ『誰か!お巡りさァァん!こっちでーす!この公園で喧嘩がぁあ!』

「…チッ」



私が発した声に、少年に振り上げた拳をしまい、男共は大した確認もせずに去っていった。
男が見えなくなったことを確認すると私は急いで少年の元へ駆け寄る。



『君 大丈夫?』

「……おまわりは?」

『嘘も方便だよ 少年』



それにしても見事に引っ掛かってくれたな、あいつら。
さすが私の演技力。

笑いながら話すあたしに見向きもせず、俯く少年。



『え…どうしたの?もしかしてもう一発やられた後だった?』

「…――よ、」

『は?』

「よけいなことすんなよ!」



少年の声は、静かな公園にやけに大きく響く。



『余計なことって、そりゃないでしょアンタ!私は少年のことを思って…』

「それがよけいなんだよ!」



そう言うと、少年は近くにあった電灯を掴む。



「うぉおらぁぁぁああ!」



そんな雄叫びと共に、少年は両腕でそれを持ち上げた。

持ち上げ……え?持ち上げた!?



『な、』



しばらく開いた口が塞がらなかった。
電灯を持ち上げたことに驚いているのではない。
そんなものは、池袋に住んでいる私には見慣れた光景だ。
ただ…電灯を持ち上げた少年の姿が、私の知ってる人にあまりに似ていたのだ。

つーか、シズさんを小さくしたら多分こんな…
金パじゃないし身長もチビだけど。グラサンもかけてないけども。



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