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チュンチュン、チチチチ…



私と彼と非日常 4





カーテンから朝日が射し込み、スズメの鳴き声が聞こえる。
絵に書いたような清々しい朝。



「ふぁあ…」



冷蔵庫から静雄は朝のお供である牛乳を取りだし、キャップを開ける。



「里穂のやつ、まだ起きてねーのか」



静雄はソファーに座って里穂の寝ている部屋を見た。
里穂と住むことになって、弟に破格で借りることになった2LDKの一室。
5畳弱の部屋は家具こそ少ないものの、しっかり里穂の住み処になった。

…そういえば、今日から定期テストだとか言って徹夜で勉強してたな。
大体一夜漬けで勉強して良い点がとれるわけねーだろ。



「…ったく、いつまで寝てんだ」



起こしてやろうと立ち上がると、バァァン!と里穂の部屋のドアが勢いよく開いた。



『…死ぬ』



そこにはグレーのスエット姿の里穂。
昨日は机でそのまま寝たらしく、頬にノートの跡がくっきり残っていた。
髪もくくったまま、まるで落武者状態だ。



「おい…大丈夫か」



思わず声をかけずにはいられない…そんな状態の里穂。
目がいつもの半分も開いていない。



『…うわあ、朝日が眩しい…』



里穂は静雄の声を無視し、カーテンの方へゆっくりと歩いて向かう。



『私 砂になりそうですよコレ…』



……相当キてんな。



「とりあえず顔洗ってこい。正直、不細工過ぎて見てられねえ」

『ほーい』



いつもなら『何ィ!?もう一回言ってみろ怪力野郎!』と言い返してくる里穂が大人しい。
調子狂うな…と思いながら牛乳を飲んだ。



『……あ』



洗面所に向かおうとした里穂が急に立ち止まる。
そして自分の胸の辺りを軽く叩いた。



「どうした?」

『…ブラジャー忘れてた』

「…っ!?」



ガンッ



里穂の発言に静雄は持っていた牛乳瓶を自分の足の上に落とした。


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