大海原監督から電話がかかってきてから一週間、ヒロトは沖縄の地に立っていた。
まだ春だというのに半袖でも少し汗ばむほどだ。
あの電話がかかってきてからは本当にヒロトにとって大変な一週間であった。
まず最初に電話のことを話すと瞳子には快く承諾されたが、後二人が大変だった。
沖縄に行くと言えば、一人で行くなだの、他のチームのやつらに手出されたらどうするんだなどと少々ずれているが、二人からヒロトは猛反対された。
最終的にウルビダらジェネシスのメンバーを選抜し連れて行くことでしぶしぶ承諾されたが。



「えーとここ・・かな?学校っぽくないけど。」



ヒロトは目の前の建物を見上げる。
小さなコテージのような建物が海の上に点々とし、それを橋と橋が繋いでいて、中央にサッカーグラウンドが存在感を出しいる。
グラウンドには先に沖縄に向かったウルビダやゲイル達がすでに集合していた。
そのすぐ横には、今回共にチームを組むであろうメンバーの存在があった。



「おっ、来たな、これで全員か。」



ヒロトの存在を確認した大海原監督は集合、と号令をかけ、今回の目的などの、大体の内容説明をしだす。
元ジェネシスのメンバーもだが、相手側のメンバーもだいぶ個性が強い。
ヒロトがちらりと横目で見れば、金髪の綺麗な長髪の少年と目が合う。少年はヒロトに向け小さく微笑みかける。
その美しさにヒロトは目を奪われたが、横にいたウルビダに肘で小突かれた為、すぐに視線を前へと戻す。



「と言うことで、君たちは協力して二週間後に雷門と試合をして欲しい。遠慮はいらない、本気で勝ちに行ってくれればそれでいい!」



説明が終わり、今日は適当に交流して解散!となんとも力の抜けるような言葉を言われ、皆、知らないメンバーたちと自己紹介をしたりとそれぞれだ。



「こんにちは、基山ヒロト君」



声をかけたのは先ほどの金髪の少年だった。



「あぁ、えーと」


「世宇子中のキャプテン亜風炉照美だよ」


「そう、俺は基山ヒロトって言っても知ってるよね、改めてよろしく。」


「うん、よろしく。あのねヒロト君、僕ヒロト君に言いたいことがあるんだ。」


「言いたいこと?」


「うん、僕ヒロト君に惚れちゃった。だからね…」



そのとき周囲の空気も含め全ての時が止まった。それもそのはずだ、お互いのチームのキャプテン二人が口付けをしているのだから。
ヒロトは突然のことに目を見開く。静かに唇が離され、直後に自分が何をされたかを理解し、見る見るうちに顔が赤くなっていく。



「これから覚悟しといてね。」



ヒロトの目の前にはとても綺麗な天使のような笑みを浮かべる悪魔、いや、神の姿があった。一方ヒロトは放心状態で、ただこくんこくんと頷くだけだった。




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