「あ、そっち回ってアイテム取っといて」

現在五限開始から十二分。場所は屋上。授業?なんですかそれは。

「ちょ、もうちょっと早く言って欲しかったんですけど朔さん」

無理難題を吹っ掛けて来る朔に答えながらギリギリでアイテムゲット。朔とゲームしながら授業サボるのも板について来たもんだな、とか思いながらもゲームに集中。ミスするわけにはいかないのだ。なんと言っても朔はゲーム上級者。俺も下手じゃないけど朔には負ける。

「そういやさー、」
「うん?」
「悠希と神楽さんってどうなの実際」
「ぶは、何が」
「どこまでやったの」
「何もしてませんよ」
「え」

なんでいきなりそんな事聞かれたのかと。神楽さんとは普通のクラスメイトであってそれ以上でもそれ以下でもないのだけど。というより俺は神楽さんより朔が好きなんだけど。っていうのはまあ冗談として。

「なんだ、もう一線越えたのかと」
「そんなわけなかった」

なーんだ、なんて言ってる朔を一瞥しつつ溜息。朔と話すのは楽しいけど時々、いや結構頻繁にこうやって突拍子もない事を言い出すのが偶に傷とか言って。

「そうそうこの間」
「うん」
「恋愛とかご無沙汰ですねって話を慎と神楽さんとしたんだけど」
「朔もご無沙汰なの」
「俺は興味ないし」
「ですよね」
「悠希はどうなの」

今日の朔はやたら恋バナという奴を振って来るな、なんて思いながらゲームしてたら攻撃もろに食らった。画面の中のキャラが痛そうだ。俺は痛くないけど。でも負けたら困るから回復してやる。

「何今のー動揺したんですかー」
「してない」

目敏い奴だ。ただの馬鹿な不良なら良かったものをこいつ...不良で頭良くて切れ者とかチートかよ。俺には到底真似出来ない。

「なーんかむかつくんですけど」
「え、何がだい悠希くん」
「朔さん苦手な事とかないんですか」

何かひとつでもいいから朔に勝てる事があればいいのに。そんな風に思う。同い年なのにここまで負けっぱなしだとなんというか。腹立つ通り越して悲しくなってくる気がする。

「俺の苦手な事ー?えーと人付き合い」
「自覚あったのか」

確かに朔は人付き合い苦手というか下手というか。でも下手ってよりそれこそ興味ないってだけだと思っていた。

「なんかほら、必要性を感じないのでどうにも人当たりの良い人間にはなれませんとまあ」
「それやっぱやる気ないだけじゃん」
「やる気になれない時点で苦手って言わねえ?」
「あー、どうだろ」

朔って本当に必要性感じない事はしないんだよな。授業出ないのも必要性を感じないからだろうか。それはつまり授業なんざ聞かなくてもその程度の内容理解出来るんだよばーか、とそういう訳だろうか。何か腹立つ。

「慎によく言われる欠点は性格悪いって」
「朔はねー性格悪いよねー」
「そんな事ないと思うんですけど」
「性格悪い朔さんと仲良く出来る俺ってちょーイケメン」
「わー悠希さんイケメンですねー」
「棒読み腹立つ」

せっかく朔にイケメンと言われたのに全く嬉しくなかった。言い方って重要。

「でもそうだなー、俺の欠点はあんま思いつかないけど悠希の好きなとこは言えますよ」
「え、どこだよ言えください」
「まあ色々あるけどー。一番は俺に普通に話しかけて来るとこかなー」
「何それなんか」
「何だよ」
「いややっぱ何でもないです」
「言えよ」
「やだ」

何それなんか。普通に嬉しいというか照れるというか。顔赤くなってないだろうか。心配。なってたらやばいすぐバレるぞ朔はそういうの鋭い。

「あ、そっち隠し通路」
「え、どこ」
「そこ」

タイミング良くゲームの画面が変わりなさった。ありがとうございます。でも朔がどこの事言ってるのか分かりません。

「ばーか逆だよそっちじゃねえこっちだって」
「どこだよ連れてけよ」
「ったくしょうがねえな」

ふと思ったけど俺と朔二人の時は結構静かな気がする。どっちもローテンションなタイプだから。慎とか琴音さんが居ると騒がしい。騒がしい(大事な事だから二回言った)。朔は騒がしいの嫌いそうだけどあの二人の騒がしさは結構楽しんでるのではないかというのが俺の見解。別に答え合せはしない。

「ゆーきー何考えてんの」
「いや別に何も」
「えー絶対何か考えてただろーが今」
「なーにーも。強いて言うならそうだなー」
「なんだよ」












これからも仲良くしてください





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