我らがポーラータング号は海軍の位置を探りながらシャボンディ諸島近海にて潜伏中。慌しさはなんとか治まりやっとこのいきなりの島脱出騒動の真相を聞けそうな余裕も出てきた。もう気になって気になってしょうがなかったんだよ。


「一体なにがあってこんなことになったんですか!」


ベポには買ってきたばかりの牛乳でホットミルク、ペンギンさんとシャチにはコーヒーを出してダイニングに強制的に談笑の場を作った。船長とジャンバールさんはどっかで打ち合わせしてるようだからあとでコーヒー持って行こう。


「俺たちは1番GRのヒューマンショップって所に行ってたんだ」

「ひゅーまんしょっぷ?」

「…まあ、名前の通りの場所だよ」

「はあ…?」

「お前麦わらのルフィって知ってるか?」

「いや、知らないです」

「だろうと思ったけど。んでそいつがそのヒューマンショップで天竜人を殴り飛ばしちまったんだよ」

「ちょ、天竜人って、船長がなにがあっても近づくなって言ってた人ですよね!?」


付け焼刃な私の情報によると確か、この世界の仕組みを作った一族の末裔とかいうめちゃくちゃ偉い人たち。それ殴るって?殴るって、え?やばくない?


「それってかなりやばくないですか?」

「ちょーやばい。そのせいで隣の海軍本部から大将が来るってなってよ。七武海は現れるし…逃げるの大変だったんだぜ」

「ひええええ…!」


シャチとペンギンさんがコーヒーをずずずっと啜る音がダイニングに響く。ベポはホットミルクが冷めるようにフーフーしてる。可愛い。

にしても、まさかまさかそんな大事が同じ島で起こっていたなんて露知らず私はのんきに買い物してたのか。海軍の大将って言ったら、海軍のほとんど最高権力でしょ確か。あと七武海ってのもなんかめちゃ強い海賊でしょ!(どっちも前シャチが言ってた)そんなのを一存で動かせる天竜人の権力って…何をしても許されるというのは本当のようだ。



「それにしても…そんな人殴っちゃうって何者なんですか、その麦わらさんって人」

「キャプテンの同期だって世間では言われてるよ!」

「同期?」

「新聞とかじゃこの一年で台頭してきた船長や麦わらたちを【最悪の世代】なんて呼び方するんだ」

「はえー、最悪の世代って…まるで船長の為にあるような言葉」

「言っといてやるよ」

「シャチくんやめたまえ」

「あ、そーだ。確か麦わらの手配書が引き出しにあったはず!」


ベポがラウンジの棚を探ると黄ばんだ紙の束が出てきた。WANTEDと大きく書かれたそれらはニュース・クーが運んでくる新聞によく挟まっている。ぺらぺらと捲っていき、これこれと白いモフモフな指で差したそれに写っている麦わら帽子の青年。ん、んんんん?


「え、え…うええええ!?」


トレードマークらしい麦わら帽子に目の下の傷跡、そしておよそ手配書に相応しくないような人好きする満面の笑み。この顔は明らかに見覚えがある。


「この人島に着いてすぐ見ましたよ!すごいはしゃいでて…!」

「なーんか毒気抜かれる奴だよな」

「船長もこいつに関しては友好的な感じだったしな」

「…おれ麦わらにくまってめっちゃ言われた…」

「ベポって結構打たれ弱いよね」


この手配書見ても、そんな凶悪な海賊には見えないもんな。船長のがよっぽど凶悪な見た目してるし。絶対声には出さないけど!!まあでも、懸賞金半端ないからいろいろやらかしてはいるんだろう。さすが船長の同期。別に船長が最悪って言ってるわけじゃないので悪しからず。


「でもなんで麦わらさんは天竜人殴っちゃったんですかね」

「あー、それは…」

「名前、コーヒー船長にも持ってくのか?」

「え?あ、はい。ジャンバールさんの分も一緒に持ってくつもりです。」

「そうか。じゃあ今行ってきてくれないか。麦わらのことも船長の方が詳しい」

「…はあ、わかりました」



潜伏する
(なんか誤魔化された気がする)

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