「ただいまですー!」
「名前こんな朝早くからどこに…あ!お揃いだ!」
「へっへー。これ取りに行ってたんだ!勝手にお揃いにしちゃったんだけど大丈夫?」
「全然!むしろ嬉しいよ!似合ってるよー」
「っ!ベポおおおおお!」
「わあ!」
「…朝から騒々しい」
「あ、キャプテンおはようございます。ベポと名前のイチャイチャタイムっす」
「もうお約束状態だな」
ベポとお揃いのオレンジのツナギが出来たとの連絡が来たのは出航の朝で。急いで街へ向かいお店で着替えて帰ってきたのだ。右手には着替えの分が何着か入った袋。袖の長さも丈の長さもばっちり私仕様になっているためなんとも着心地が良い。しかもベポとお揃い!ベポも褒めてくれたしなんて素晴らしい朝なんだろうか!
だがそんなテンションMAXの私を見る三人の瞳は三者三様だ。ベンギンさんは、なんつーか孫のランドセル姿を見るような(どんな例えだって思うかもしれないがほんとこれがしっくりくるんだって)なんとも慈愛に満ちた視線を向け、シャチはまたやってんのかというような若干の呆れを含んだ視線を向け、船長に至ってはやはりこいつバカだなという軽蔑の視線を向けてきていた。やっぱ船長はそれなんだな。まあいいさ。私は今とても機嫌が良い!!
「まあでも似合ってんじゃん?」
「なんだねシャチくんツンデレ気取りかね」
「うぜえ」
「帽子もよく似合ってるぞ」
「ありがとうございますペンギンさん!まあでもこれ船長の見立てなんですけどね」
「キャプテンが?」
「お前に買ったのか?」
「はい!買い物行ったときに被っとけってもがががが」
「オイおめえら喋ってる暇あるなら出航の準備しろバラすぞ」
「もがが!(なんでガン切れ!?)」
なにがいけなかったのか全くわからないんだが。船長の眼力にビビッたシャチは大急ぎで甲板から出て行き、ペンギンさんはなんだか意外そうなそれでいて楽しそうな顔で笑って(その表情に船長は更に眉間のしわを濃くしていた)頭を撫でてくれた。やばいですキュンてしました隊長!
「名前!準備手伝え!」
「わわ、はーい!!」
出航する
(キャプテンが女にプレゼント、か)
(おいペンギン、気を楽にしろ)