親友



秋と言えば。

「スポーツの秋!」
「違う。芸術の秋」
「何言ってんの、芸術ならいつだって出来るじゃん」
「それを言うなら、スポーツもそう。ウィンタースポーツはいつするの?」
「あー…そっか」

昼休みに屋上で、みよとカレンと一緒にお弁当箱を広げながら談笑する。
季節はすっかり秋めいて、あと一、二週間もすれば外でお昼を食べることは出来なくなってしまいそう。
学校から見えるはばたき山も少しずつ紅葉を始めている。今年も紅葉狩り行きたいな。

「ねえねえバンビは?」
「え?」
「秋と言えば、何を思い浮かべる?」
「えっと、そうだね…」

秋は涼しくて過ごしやすくなる。鈴虫や松虫の綺麗な音も聞こえるようになるし、何より景色がいい。
空にはうろこ雲も見れるようになるし、外出にはもってこいの季節かも。

「うん、秋と言ったら散歩かな」
「散歩?」
「そう。春もいいけど、秋に散歩するのが好きなの」

去年の秋も、日曜になるたびに外に出掛けていた。
森林公園、はばたき山、臨海公園。はばたき城に登って町を見渡すのも、楽しかった。
なんて思い出に浸っていたら、カレンがニヤニヤと目を細めて私を見ていた。な、なんだろう、この目。

「なあにバンビってば遠い目しちゃってさー!秋のお散歩、誰と行ったのかな?」
「え?!」
「隠し事はよくない。バンビ、誰?」

だ、誰って言われても。

「友達と、だよ?ルカくんやコウくんと」
「ほほう、バンビは兄弟狙いなんだ?」
「ね、狙いって」
「大丈夫。二人ともバンビのこと、大切に思ってる」

みよは私の手を握って自信満々に言う。
カレンも良かったね、って言ってくれるけど、何か勘違いされてる?

「あの、本当に二人とも大事な友達だよ?」
「ええー?本当にそれだけ?」
「それだけ!…ね、今年は三人で出掛けない?」
「あら、デートのお誘い?行く行く!」
「カレン。三人って言ったの、忘れないで」

どこに行こうか、なんて話ながら予定を立てる。秋は美味しいものもたくさんあるから帰りにケーキを食べに喫茶店に寄ろうとか、結局食欲の秋になっちゃったけど。

女の子同士で秋を満喫するのも、悪くないよね?




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