メランコリックボーイ 1



目の前にあるのは大きく開いた胸元。
頬に当たる感触は柔らかくていい匂いがして、その匂いが何か理解する前に衝動的に掴み掛かった。
薄い布越しに硬めの下着の感触。
下から押し上げるように持ち上げると、頬に当たる柔らかさが増した。

気持ちいい。

この柔らかいものを今から自由に出来るのだと思うと、ずくん、と一気に腰が重くなった。




「おはよう、新名くん」

朝、学校への登校中。
柔らかい笑顔で挨拶をしてくれるのは、俺が好きで好きでたまらない女の子。
ピンクブラウンの髪を揺らし、可愛らしい大きな瞳でこちらを見つめ、ピンクに色づいた唇を動かす。
ふわりと花のような匂いを漂わせて腰を少し屈めて後ろで手を組み、覗き込みながら俺にそう言った彼女は一つ年上。

「おはよーみなこちゃん。今日もイケてんね」
「ふふ、ありがとう」

俺の軽口をサラリとかわし、隣に並ぶ。
学校まであと5分くらいか。よし、ゆっくり歩こう。
歩くスピードを落とした俺に、早く行かないと遅刻しちゃうよ?と腕を引っ張る彼女は、俺の些細な心の機微には全く無関心らしい。
ぐいぐいと手を引っ張っている彼女はやっぱり可愛いなぁとか思いながらたりーよ、なんてふざけてダラダラ歩く。

「もう、新名くん!」

頬を膨らませながら怒る彼女はマジで可愛い。
なあ、アンタ本当に年上?
完全に妹系でしょ、これ。構いたくなるような苛めたくなるような、うっかり悪戯しちゃいたくなるような。
ヤベ、朝っぱらから頭ん中ピンクすぎ、俺。

「あ、琉夏くんコウくんおはよう!」
「おー」
「あー、みなこだ」

突然後方に向かって声をかける彼女。その先には彼女の幼馴染みの琉夏さんと琥一さん。
俺の腕をしっかりと抱き締めたまま手を振る彼女に答えていた二人が、俺の姿を認めた瞬間険しい顔つきになった。
それはまさしく修羅のごとく。

そう、俺が大好きな彼女には番犬が二匹もついている。しかもかなりおっかない。彼女の両隣をガッチリとガードして、近寄る男どもを一睨みで蹴散らす優秀な番犬。
…さようなら、俺のささやかな幸せ。




そろそろと服を脱がし、ブラジャーのホックを外す。途端にぷるん、と震える白い胸に感動を覚えた。先っぽピンクだ。
ごくり、と喉が鳴る。弄り回したいけど何からすればいいか戸惑う。ヤバイ。俺かなりテンパってね?

「にいな、くん」
「へ?!あ、な、なに?」

それまでずっと無言だったみなこちゃんに声をかけられて、情けないくらいに裏返った返事を返してしまう。ダサいぞ、俺。

「…あのね、こういうこと、初めて?」
「は、…な、わけ、ないっしょー」
「…そう」

しゅん、と落ち込むカノジョ。

嘘です初めてです見栄張りました!!
ってすぐにでも言い訳したいけど、ナンパとかしまくってる俺が初めてとかなくない?イメージ的にさ。
ホントは初めてなんだけど。部屋にあげた女の子はアンタが初めてだし、ましてや今俺のベッドの上に寝転がって胸晒してるなんて、妄想でしかあり得ないと思ってたんですけど!

…ん、まて。俺はどうでもいいとして、みなこちゃんはどうなんだろう。
言い寄る男はかなり多いけど、特定の誰かと付き合ったりしてるとこ見たことないし、知らない。
経験あんのかな?
女の子に聞くのも失礼とは分かっていても気になる。好きな相手だし。

「あーのさ、ちなみに、アンタは?」
「え?」
「したこと、あんの?」

セックス、と小さく呟くと、途端に彼女の顔が真っ赤になった。
え、何その反応。どっち?それはどういう風に捉えたらいいわけ?

「ある…」
「…へ?!」

ある?!今あるって言った?!
嘘だマジかよ信じらんねえ。あのみなこちゃんだよ、純情無垢で可憐な学園の乙女が、まさかすでにロストバージンしてたなんて…。
これ、学園を揺るがす大事件だよホント!

「…軽蔑、した?」
「え」
「もう、私とはしたくなくなった…?」

不安げに眉を寄せ、今にも泣きそうなみなこちゃん。
うわ、俺バカ!
処女じゃなくても彼女が清楚で可憐で大好きな女の子には変わりないのに、ビックリしすぎて彼女を不安にさせてしまった。
確かにショックではあったけど、相手は誰だったのかスゴく気になるけど、そんなこと聞いたら余計彼女を傷つけるだけだ。
俺はどうにかいつも通りの笑顔を作ると、みなこちゃんに軽くキスをした。

「ん、にい、」
「軽蔑なんてしないよ。過去は過去っしょ、今は俺の腕の中にいるんだし、経験あろうがなかろうがみなこちゃんはみなこちゃんだよ」
「新名くん…」
「俺だって…過去の話、だし、今はみなこちゃん以外考えられないから」

俺の場合、過去の話じゃなくて妄想の話、なんだけど。今更訂正なんて出来ないよな…。
なんて胸中では泣きながら、飽くまで優しく笑って彼女の頭を撫でる。その仕草に彼女も身体の力を抜いて、ふわり、という効果音が似合いそうな笑顔を浮かべた。

「ありがと、…旬平くん」

……っ!
…はい、俺の負けです。
不戦敗です。
って言うかそこで名前呼ぶとかナニ、狙ってた?そのタイミング絶対狙ってたっしょ?!
ホントヤバイ。
今俺あり得ないくらい顔赤い。理性吹っ飛んでも仕方ない。そうしたのはアンタなんだから、責任取ってよねホント!

もう一度、出来るだけがっつかないように唇を重ねる。
角度を変えながら何度もキスしながら、ずっとお預け食らってたモノに触れる。うわなにこれ柔らかいだけじゃない、触り心地も、サイコーだ。

「ん、…っ」

ぴく、と彼女の身体が跳ねる。
俺が触れることによって、彼女か反応を返してくれることがとても嬉しくてまた触れる。正面から掴むようにして触れて揉む。
中指だか人差し指だかが胸のてっぺんに触れると、みなこちゃんが逃げるように身体を引いた。
…もう、たまんね。

合わせるだけだった唇を薄く開いて舌を出し、呼吸をするために同じく薄く唇を開いた彼女の口の中に滑り込む。
そこは温かくて柔らかくて、甘い味がした。

「ふ、んっ」
「…ん、んぁ…みなこちゃ…」
「あん、じゅ、ぅ…!」

少し力を込めて胸を揉み、起ち始めたてっぺんを摘まんで擦る。それだけでみなこちゃんは身体を震わせ、更に頬を赤く染めた。
そんな彼女の様子だけで俺までゾクゾクしてきた。あっちは既にガチガチだけど、触ってないのに背中があわたつ。
脱ぎかけだった服を全て剥いで、下着一枚になったみなこちゃんをマジマジと眺める。妄想と夢の中でしか見たことがない、彼女の顕な姿。
スゴく、綺麗だ。

「…ずる、い」
「うん?」
「私だけ、なんて。旬平くんも、脱いで…?」

言いながら手を伸ばし、俺のシャツを剥ぎ取ろうとする。きゃーみなこちゃんのエッチー、なんてふざけながら戯れるけど、内心バックバクです。
みなこちゃんてほんわかしてるくせに、意地っ張りで負けず嫌いだよね。
脱いでって、脱いでってアンタ!
じゃれ合いながら俺も下着一枚になる。うお、結構恥ずかしい。海とかプールに行けばいつもこんな格好になるけど、ここは俺の部屋で目の前には裸同然の彼女。

「じゅんぺい、くん…」

彼女の視線が戸惑いがちに俺の股間に注がれる。
はい、もうヤバイことになってます。

ってゆーかさ、みなこちゃん初めてじゃないのに反応がいちいちウブで可愛い。
なんだかイタズラしたくなってきて、彼女の右手を掴んで俺のソコに触れさせた。

「…っ」
「アンタがこんなにしたんだよ。責任、取ってよね?」

みなこちゃんの身体が強張る。でも、手を払い除けたり目を逸らしたりはしない。
俺さ、気付いちゃったんだよね。
みなこちゃんの目。
不安よりも期待の方が勝ってるんじゃない?

ごくり、と息を飲む音が聞こえた。意を決したように彼女は俺の下着を引き下げ、すっかり勃ち上がったものを取り出そうと奮闘する。てか、あのさ、下着が擦れてなんか…焦れったいんスけど…。
グッと引っ張り下げられてとうとう俺のソレが姿を表した。
びく、と肩を揺らすみなこちゃん。なんか、動きとか小動物っぽいよね。そう言えばカレンさんやみよさんからは『バンビ』って呼ばれてた。
黒目がちなおっきい瞳も、今こうやって小さく震えてる姿も、好奇心旺盛であっちこっち跳び跳ねてる様子も、確かにバンビっぽい。

なんて微笑ましい気持ちでいたら、みなこちゃんの手が俺のそれにかかった。
つん、と先端をつつかれて思わず腰が浮く。ふと俺の顔を見上げたあと、再びじっと股間を見つめたと思ったら、まとわり付くように彼女の手が俺を包み込んだ。

「ん、」
「……」
「…?どしたの?」
「あ、あのね、」

握ったまま動かない彼女の顔見つめる。真っ赤になった顔には、困惑したような瞳が揺らいでいる。
もしかして、やり方知らない、とか?

「さ、触るのは、初めて、だから」

辿々しく指を動かす。
俺としてはみなこちゃんに触られてるだけで、むしろ見られてるだけでも十分ヤバイんだけど。
バージンじゃないって聞いたときはショック受けたくせに、触るのは初めてとか言われただけで舞い上がれる俺って単純…。

懸命に俺のを撫でる。
一生懸命でホント可愛い。

「…こっちも、触ってみて」
「こ、こう?」
「うん、で、こうやって…」

みなこちゃんの手に自分の手を添えて、いつも一人で慰める時にするように動かす。
うわ、なにこれなんだかヤバイ。弄られてるの俺なのに、無理矢理みなこちゃんの手を犯してるみたいで興奮する。戸惑いつつも真似て動く様が可愛くて仕方がない。

あまりに気持ちがよくて、ちょっともうヤバイ。てかまだみなこちゃんのアソコも見てないのに先にイクとかない。
マジでイっちゃう前に手を離させようとしたけど、突然抵抗したように彼女の手が俺を扱き上げた。
は、ば、マジで…!?

「ダ、メ…っ!!」
「きゃっ」

ビュクビュクと吹き出した精子に驚いたみなこちゃんが、短い悲鳴をあげて手を放す。ああ、ちょっとかかっちゃったかな。
じゃ、なくて。
……ありえない。
何やってんの何先にイってんの。
てか何最後のめっちゃヤバイとこ弄られたんだけど。偶然?偶然なわけ?

「ごめん、タオルあるから拭いて」
「ううん…大丈夫」
「あー、いやでも」
「きもち、」
「…ん?」
「きもち、良かった?」

……!!
なんかさあもうなんなのこの子。今さっき出したばっかなのにまたホラもう!

「良かった。スゲー良かった!でも先イって、ごめん」
「ううん、…そっか、良かった」
「…っだから、あーもう!」
「え?…きゃあっ」

もう駄目だこれ以上この子を喋らせていたら俺の心臓とムスコがもたない。
そんな恥ずかしそうに、でも嬉しそうにハニかまれたら俺もう理性焼き切れちゃうよ。早くアンタん中入りたくて仕方がないのに、必死で我慢してる努力無駄にする気?
とりあえず黙らすために押し倒して、丁寧に顔中にキスをする。焦ったら駄目だ、ゆっくり、ゆっくり…。

…焦らしすぎるのも可哀想かな。
右手を体に這わせて、胸を滑らせて腹、腰を撫でる。くすぐったさからかみなこちゃんが身体をくねらせたのを見て、そっと下着の縁に指をかけた。

「…っ」

小さく息を飲むみなこちゃん。
拒絶されないのを確認して、グッと膝辺りまでずりさげた。
ああ、夢にまで見た、彼女のソコは、すでにしっとりと濡れそぼり、テラテラと光りながら俺を誘っているようだった。




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