お砂糖の人形 日曜日、ショッピングのついでにアンネリーに立ち寄ったら、アルバイト中の琉夏くんが大歓迎とばかりに迎えてくれた。 その勢いのまま最近おうちに遊びに行っていないことに不満を感じているのか、鍵渡しとくからコウと二人でうちで待ってて、とごり押しされた。鍵を渡されてまで必死に頼まれたら、断る理由なんてない。 今日の予定はショッピングだけだったし、それなら夕飯を作ってあげようと思い立ってスーパーに寄ってからWest Beachに向かった。 …ら、物凄い場面に遭遇してしまった。 「……っ」 玄関を開けてお邪魔します、と呼び掛けても返事がない。もしかしたらコウくんは寝ちゃっているのかも、と思いつつ食材を冷蔵庫に入れてから階段を上った。 「はぁ…」 本当に寝ていたら携帯で寝顔写メっちゃおうかな。極力足音をたてない様に、一歩一歩慎重に上がっていく。琉夏くんの部屋からまた螺旋階段を登り、携帯を開いて準備しながらそっと頭を覗かせた。 「ふ、…っく、」 あれ、コウくん起きてたんだ、残念。でも何やってるんだろう。ベッドに座って前屈みでなんか一生懸命…って、やだ、あれもしかして。 「ハッ、みなこ…!」 わお、オカズにされてる。 黒いソファーベッドに座って一心不乱にオナニーをしているコウくんは、まだ私が来たことに気づいていない。たぶん、もうすぐで終わるのかも。まさかコウくんが目を瞑って自分の手で慰めながら、私を想像してくれてる場面に遭遇するとは思わなかった。 そっと息を潜めて携帯を構え直す。 「みなこ…っ!!」 どぷ、とコウくんのが手の中ではじけ、白い液体が飛び出すのをかろうじてティッシュで受け止める。飛び出す少し前に撮影ボタンを押し、いいタイミングでコウくんの射精シーンが撮れた。しかし、そのときのシャッター音が意外にも響いてしまい、コウくんが弾かれたようにこちらを振り返った。 「な、おま…!!」 「……あの、えっと」 お邪魔してます? 失礼しました? どうしよう、見つかったときのこと考えてなかった。しかもしっかり自分の名前を呟きながら達した瞬間に立ち会っちゃったわけだし、下手な誤魔化しもできない。 コレは、選択を間違えるとその場で食われる可能性が大きい。最悪ここで組み敷かれて事に及んだ場合、更にとんでもない場面を今度は琉夏くんに目撃されるかもしれない。 わあ、ドロドロ昼ドラの出来上がりだ。 「…とりあえず、下行ってろ」 あれ、意外と冷静。 それとも冷静を装っているのかな。コウくんってめんどくさがりの割にはお兄ちゃん気質だし兄貴肌だし、テンパッてるとこあんまり人に見せないように繕うの、上手いんだよね。 今でも頭の中は色々ぐるぐるしてるんだろうし、もしかしたら理性と戦ってるのかもしれない。オカズにしてた女の子が目の前に現れたんだもん。健全な男の子には辛い状況のはずだ。 …ヤバイ。ちょっと、悪戯したくなってきちゃった。 ごくり、と息を飲み込む。階段を上がりきり、こちらを見ないで葛藤中であろうコウくんに気付かれないようにゆっくりと近付く。正面に立ったところで気配に気付いたコウくんが、私を見上げた。 いつも見下ろされてばかりだから、なんだかちょっと優越感。 「テメ、何やってんだ!下行ってろって、」 「…下にいる間に、もう一回するの?」 「な、」 「だって、まだ…」 ズボンと下着を膝まで降ろしたまま、両手で前を隠している姿はとても間抜けだ。硬派でアウトローを気取っている彼のこんな姿、もう一生見れないかも。 めいっぱい怖い顔をして脅そうとしているコウくん。普通の女の子なら怯えて逃げちゃうかもしれない。でも、好奇心と悪戯心が大半を占めている今の私には、まるで無意味なものだった。むしろその格好で怖い顔されても滑稽なだけだよ、コウくん。 そっと手に触れる。途端にコウくんの身体がびくりと震えた。 「おい、いい加減にしろ。犯すぞ」 確かに下手したら本当に犯されるかも。 「…コウくんは、そんなことしないよね?」 できるだけ可愛く、あくまで純粋に。それでも私の手は彼の手をすべり、手のひらに潜り込もうとする。隙間を見つけて、いまだ立ち上がっているコウくんのソレに触れた。 「ば、ホントマジで止めろ…!」 「コウくんの、見せて?」 「何言ってんだコラ、止めろって」 「でも、まだこんなだよ」 先ほど出したものでベトベトしている。円滑剤代わりに指先に纏わせて、どんどん奥に進めていく。止めろといいながらも押し退けないコウくんも、指先を滑らしただけなのにだんだんと息が上がってきていた。 「熱い。太いね、コウくんの」 「…っ」 「手、退けて。…そう」 「…、ぁ、おま」 「大丈夫、大人しく見てて」 言われるがままに完全に両手を離したコウくんの膝の間にしゃがんで、姿を現したソレをまじまじと見つめる。やっぱ大きい。先を指先で押さえ、指の腹で裏側を撫でる。くすぐったいのか小刻みに揺れるソレは、グロテスクなはずなのにとても可愛く見えた。 手をいっぱいに広げて握り上下に扱く。皮を弄ったり袋を揉んだりするけど、決定的な快感はまだ与えずに焦らした。 「な、オイ、もっと強く…」 「…強く」 「アッ、バカ、握りすぎ…ッ」 「ごめんね?」 ぎゅう、と握り締めてからそっと離す。痛かったかな。どれぐらいの加減がいいのか探りながら、今度は少しずつ力を強める。どうしよ、口使おうかな。まだとっといてもいいかも。 「ね、気持ちいい?」 「ぁ…、聞くな、っ」 「…けち」 気持ちいいんだろう。だってもうガチガチで、さっきから先がパクパクしてる。もしかして出すの我慢してる? コウくんって結構タフですぐに出しちゃうタイプには見えないけど、このシチュエーションに興奮してるのかな。なんたって奉仕してるのがこの私なんだし。 全然こっちを見ようとしないコウくんの顔の前に身を乗り出して、無理矢理目を合わせる。分かりにくかったけど、ほんのりと顔も紅頬してるし目も潤んでる。ヤバイ、コウくんが可愛い。 「我慢、しなくていいよ」 「ハッ、はぁ、やめっ」 「…イって?」 「―――っ!!」 仕上げに扱きあげて先を刺激しながら耳元で囁くと、ドクドクっとさっき出したのと同じ白い液体が吐き出された。危うくかかりそうだったのを、手のひらで受け止める。うわ、凄い量。 肩で息をするコウくんを尻目にティッシュを引き寄せ、手を綺麗に拭いた。くたり、とコウくんのソレは力を失う。色々混乱してるんだろう。私を想像しながらしていたオナニーを見られた上に、まさかその私がこんなことするなんてって思ってるよね。 「…オマエ、」 「今日はもうおしまいね?また今度してあげるから」 「みなこ」 「…なぁに?コウくん」 いつものように、優しくて無垢な笑顔を向けてやる。するとコウくんは苦々しく顔を歪め、なんでもない、と呟いた。 101026 xxx |