壊された柵



くちゅくちゅと響く水音は彼女の口から発せられている。すっかり蕩けきった瞳には、怯えた様子も時々見せた勝気な様子も窺うことはできない。
僕のものを口いっぱいに頬張り、幸せそうに舐める彼女は既に女ではなく雌と化していた。



本日の講義を全て終え、サークルに向かうために鞄を手に取る。今日の予定は次に訪問するボランティア先の確認と、行う内容の打合せ。つい癖で資料整理をしたり連絡網の確認をしたりしているうちにすっかりサークルの中心人物となってしまった。
受講中電源を切っていた携帯を開き、着信を確認する。
メールが一通入っていた。

「………」
「紺野ー、今日俺サークル…どうした?」
「え?ああ、なんでもない。休むのか?」
「ああ、彼女とデートだったのすっかり忘れてたわ。なんか変更あったら教えて」
「分かった」

じゃあ、と手を振って帰ってゆく友人を見送る。
メール画面を閉じ、アドレスを呼び出す。サークルの先輩の番号を選び、電話を掛けた。

「紺野です。…すみません、今日用事が入ってしまって、…はい。はい、お願いします」

用件を伝えてすぐに席を立つ。
講堂を出て、時間割を確認する。確か彼女は今の時間、東館にいるはずだ。帰宅やサークル棟へ移動する人の波に逆らいながら東館へ入る。掲示板で講義室を確認し、その階へと向かう道すがら、女子生徒に声をかけられた。

「あ、紺野先輩だ」
「…ああ、君はみなこさんの友達の」
「はい。みなこから連絡貰ったんですか?あの子なら気分悪いからって3階のトイレに行ってますよ」
「そう、有難う」

教えてくれた3階のトイレへと向かう。流石にいきなり女子トイレの中には入れないので、携帯を取り出して電話を掛けた。
コール音が始まると同時に、女子トイレの中から彼女の携帯の着信音が流れる。すぐに音は途切れ、震えた彼女の声が機械越しに聞こえた。

『は、い…せんぱい…?』
「うん。気分悪いんだって?大丈夫?」
『だい、じょうぶら、ないで、すっ』
「…だろうね。中、他に誰もいない?入るからドア開けといて」

切羽詰ったように彼女が声を絞り出す。僕の指示に小さく答えるのを待って通話を終了し、人がいないことを確認して中に入った。個室の一番奥、きい、と開く扉がある。迷わずそこに入ると、便座に座って切なそうに目にいっぱい涙を溜めてオナニーをしている彼女がいた。

「…薬の量、多かったかな」

ぐちゅぐちゅと音を立てて膣内を必死にこする指は、既にふやけ切っている。どんなに自分で慰めようとしても、物足りなかったろう。イきたくてもイけない。強い快感が欲しくても指が届かない。
はあ、と切なげに彼女が息を吐いた。

「せ、ぱ…たまお、せんぱい…っ」

演技ではない、本心からの懇願。
初めからこうすればよかったんだ。なにも考えられないようにして、演技とか、計算とか、出来ないようにさせて。ただひたすら快感だけを求めるようにしてしまえば。
個室の中に入り、鍵をかける。
途端に彼女は僕に縋りつき、悩ましく腰を揺らしながらキスを強請る。涙と唾液に濡れた彼女の顔は今までに見たことのないくらいグチャグチャで、今まで見たどんな顔よりも綺麗だった。

「入れて欲しいの?」

髪を撫でて抱きすくめるとこくこくと頷く。必死に背伸びをしているけど、身長差がありすぎるせいでキスをしようとしても届かない。焦れて今度は僕の下半身に手を伸ばそうとするのを押しとどめる。本当、本能の赴くままに行動する彼女は最高に可愛い。

「やあっセンパイ、してください…っ!」
「…そんなにつらい?」
「つらい、です…!自分じゃ全然、きもちくないのっ」
「オモチャ、あげたでしょ?」
「や、アレはやだ…先輩の、玉緒先輩のおっきいのが欲しい…!」

ぞわ、と身体中に痺れが走った。本当ならもう、今すぐにでも突っ込んで掻き回してあげたいけど、それでは意味がない。ぼたぼたと愛液で床を濡らす彼女に、どちらが上なのかもっと知らしめてやりたい。

「…なら、わかるよね?」

掴んでいた手を離す。小さくこく、と一回頷いた彼女がしゃがみ込んで僕のベルトを外し、ズボンの前を寛げた。
焦っているのか、上手く扱えていない。手を添えて先にキスをし、そのまま口に含む。彼女の小さな頭を抑えつけたくなるのを我慢するために腕を組む。見下ろす彼女は一心不乱にしゃぶり、裏側を舐めあげ、前立腺を刺激する。

「ん、」

声が出そうになるのを我慢して、微動だにせず彼女を見下ろす。僕の視線には気づかずにやわやわと袋を揉み、片方に口付ける。昨日した感覚も呼び起こされ、ふる、とペニスが震えた。

昨日は日曜で、アニマルプレイをしたんだっけ。全裸にして猫やウサギの尻尾がついたアナルパールを付けてよがる彼女を、一日中可愛がってやった。
猫をじゃれさす用に猫じゃらしや、またたびと称した媚薬を使ってさんざん彼女をイかした。
そのときに使った媚薬を昼、彼女の昼食に混ぜてみたら、昨日より更に乱れた彼女が見れるだろうと思った。
辛かっただろう。午後の講義なんて頭に入らないくらい、我慢を強いられたはずだ。

ちゅば、と先をキツく吸う。口を小さくすぼめ、前後に動かして扱きあげる。ああ、確かにそろそろ出そうだ。

「口、離さないでね」

イく瞬間に彼女の頭を掴み、口を離さないように固定して射精する。勢いよく吐き出したそれは彼女の喉を叩き、口内をドロドロに犯していった。

「うぶ、ん、…っは」

ごく、と精液を飲み下して苦しそうに咳き込む。飲みきれなかった分が口から溢れる。今まで何度も飲んできたのに、コレばかりは上手くできないみたいだ。

「また溢したね。君はいつになったら上手く飲めるようになるの?」
「ごめ、なさい、」
「…なんだい、その顔。そんなにお仕置きして欲しいの?」
「は、はい、して…お仕置き、してください…」

とろん、と溶けた黒い瞳いっぱいに自分の姿が写り込んでいる。なんて顔をしているんだろう。はしたなくおねだりを始める彼女を見下げて笑っている。とても、醜い顔だ。

「……」
「はっ、何でも、言うこと聞きます、から、…ねぇ、せんぱいっ」
「じゃあ、もう帰ろうか」
「…え?!」

ズボンを直して扉を開けようと背を向けると、腕や服を掴んで引きとめようとする。それでも止まらないのを悟ると、腕ごと拘束するように抱きしめられた。細い腕をいっぱいに伸ばして、必死に縋りついて。

「何でもするんでしょう?なら、家まで我慢できるよね」
「や、いやっ」

背中越しに彼女が震えているのが分かる。
きっと、立っているのもつらい筈だ。引き留めようとするのと同時に、崩れ落ちないように縋っているのだろう。彼女の熱い息が背中にかかる。はあはあと、汗と雌の匂いを漂わせながら。
ぎち、と再びペニスが熱を主張し出す。

「ごめんなさい、おねが、もう…焦らさないで、入れて、玉緒センッ」

振り返って大粒の涙を溢しながら懇願する彼女の唇に噛みつく。いきなりの行動に驚いたようだったけど、すぐに舌を絡めようと口を開く。ぬる、と差し込んで口内をなぶる。
細い腰に腕をまわして隙間なく抱きしめ、張り詰めた股間を彼女の腹部に押し付け、腿で彼女の股を刺激する。豊満な胸が押し付けられ、鼻いっぱいに彼女の匂いを吸い込んだ。

「ぁ…ん、ぅんっ」
「は、みなこさ…っ!」

履き直したズボンを乱暴に下ろし、彼女を壁に押し付けて早急に挿入した。待ち望んでいたものを受け入れた彼女の膣内は熱く、ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。早々に達しそうになるのを堪えるために一度引き抜き、再度勢いをつけて挿入した。ぱん、と濡れた部分から肌のぶつかる乾いた音がする。

「あ、あっ激し、やぁ、ああっ」
「こう、して欲しかったんでしょ、君は!」
「あん、ン、っ、は、アっ」

両足を高く持ち上げ、首に手を回すように導く。重力で落ちてくる身体を突き上げるように揺さぶると、喘ぎが甲高い悲鳴へと変わってゆく。一層強く締め付けられて、絞り取られるような感覚に襲われた。

「も、はっ、イく、イっちゃう、ッあ、―――ッ!!」

どくどくと彼女の中に精液を注ぎ込む。同時に達した彼女は、だらりと身体の力を抜いている。待ちわびた快感が一気に解放されて気絶してしまったのだろうか。でも、まだ。彼女の中で再び首をもたげたペニスは、まだ満足していない。
便座に彼女を座らせ、気絶したまま突く。意識がないながらも感じているのか、小さく呻く彼女の額にキスをした。

「…愛しているよ」

今まで、一度たりとも囁いたことのない言葉。
愛しくて、手放せない、大切な。

「僕の、可愛いお人形さん…」




101023

xxx

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