待てをするライオン



ちいちゃくてまるっこい。
そう、みなこを形容したら、失礼だよって怒られた。
じゃあ、柔らかい?
ふわふわのマシュマロみたいな肌を指でつついたら、今度は両手で挟むように頬を叩かれた。
ぱちん、可愛い音。

「痛い」
「うう…どうせ太ってるよ」

頬っぺたを挟んだままぐにぐにと手を動かすみなこ。
潰そうとしてるみたいだけど、手も柔らかいから気持ちいいだけだ。

「ね、みなこ」
「なに」

上目遣いで俺を見ても怖くないよ、むしろ可愛い。
すごく、可愛いよ。

「だっこ、しゃせて」

あ、噛んだ。
それでもみなこには伝わったみたいで、キョトンとしていた顔を真っ赤にして慌てて両手を離した。
ああ、気持ちかったのに。
とっても残念、だったけど、手だけでこんなに気持ちいいんなら、抱き締めたら俺、どうなっちゃうんだろう?
それとも、みなこの体がマシュマロみたいに潰れちゃうかもしれない。

「な、る、ルカくん、」
「…うそうそ、冗談」

リンゴみたいになっちゃったみなこ。
多分、頭の中は真っ白になってるだろう。
お、うまい。
座布団一枚。
なんて、ふざけてる場合じゃないよね。
本当は抱きたくて、抱き締めたくて堪らないんだけど、きっとダメ。
彼女は、みなこだけは、壊しちゃダメなんだ。

「…ルカくん?」
「ほら、授業始まる。いこ?」

立ち上がって歩き出すと、みなこはうん、と少し不満げに頷いてついてきた。
ぎゅ、と服の端を握るのは、みなこの癖。
だけど、この時はいつもと意味が違ったのには、気づいてた。
まだダメだよ。
みなこが、俺の言葉の本当の意味に気づくまで、お預けだ。




100809

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